2022.08.31 (2022.09.2 アップデート)
みなさま、お久しぶりのまついです。
今日から2022年9月2日まで幕張メッセで開催している、”2022スマートエネルギーWeek 秋” に行ってきました!
いやー、京葉線と武蔵野線を間違って、「なかなかつかないなー」と思ったら新松戸でした。引き返して小一時間ほど遅れての到着でした(バカすぎ)。
予定通り聞きたかった講演はほぼ聞けて、いったん会場もざっとまわれたので、速報でお伝えします。
1日目午前中から盛況です


会場も幕張メッセだし、人出どうなんだろう・・・と思いつつ向かいましたが、海浜幕張駅からすでに人の波ができており、1日目の午前から会場にも沢山の方が来ていました!申込制のセミナーもほぼ満席。展示場の講演ブースも立ち見が出る盛況ぶりです。
会場講演 Tesla Motors Japan
”テスラエナジープロダクツ(蓄電池、Solar)によるVPP”

開場からまもなく、10:30開始の講演でしたが、立ち見が3重にできている。注目の高さをうかがわせます。
講演の中では、家庭向けのPowerWall(メーカサイトリンク)と企業向けのMegapackの紹介や、海外、日本での導入事例の紹介がありました。
海外のPowerWall事例
・米国カリフォルニア州のPG&E(電力とガスの供給会社)と組んで実施している事例。
太陽光パネルとPower Wallを導入している消費者がアプリからカンタンにVPPに参加して、余剰電力の販売などができるとのこと。
・オーストラリアのSouth Australia州では、1000世帯の公共住宅へのPowerWallの展開を実施済み。
現在地域の4万9000世帯への展開を行っているそうです。ガスタービン発電所一個分くらいの規模の発電能力になるとのこと。
日本のPowerWall事例
・先週日経でも出ている、宮古島未来エネルギーとTeslaの共同事業で、この8月に300世帯へのPowerWall導入した事例が発表されました
太陽光パネルとPowerWallが0円で導入でき、利用者は電気料金を払えばよいというしくみ。うらやましすぎる!
今までは、台風の停電などで電気が使えなくなることもたびたびあったということです。島の皆さんの声や美しい島の様子も、Teslaのサイトからビデオで見れます。ぜひぜひ!
https://www.tesla.com/jp/customer-stories/miyakojima-vpp
私事ですが、先週まで宮古島にいました!運命を感じる!!
(宮古島は知らずに行って分かったのですが、官民を挙げてエコアイランドの取り組みをしています。近日写真を整理してどんな取り組みをしているかをお届け予定です。)
1個のコンテナみたいなやつに、バッテリーもコンバーターもリモート監視用のゲートウェイも全部入っているAll in Oneモデル。
1個だと1-3MWhの蓄電能力があり、複数台で構成することもできる。米国で700MWhの事例もあり。
日本の導入事例として、グローバルエンジニアリング向けの6MWhの導入が今進んでいます。
テスラサーバーで遠隔管理、ソフトウェアのアップデートもできるので、
・設置後も最新機能をアップデートして使うことができる
・充放電を最適化できる (たとえば港区に設置してあるPowerWallをグループ管理して、充放電を最適なタイミング、量で行うこともできるそう。)
・電力供給の低下を予測するアルゴリズムも搭載していたり、バッテリーの柔軟な追従性を生かすことで、より早く必要な周波数の電力を放電できる
このあたりが技術的な差別化ポイントらしいです。ふむふむ。
カーボンフットプリント測る系ソリューションいろいろ
企業のカーボンフットプリント見える化+αのソフトウェアとかサービスは、春にもまして増えてきていて、今回も名前知らなかったところもいくつもありました。完全にレッドオーシャンになってきてますね・・・。
「ただ見えるだけじゃなくて うちはxxxxできます」というところで、各社気張っているようです。
Becoz



ついに日本でも出てきましたー!消費者向けのカーボンフットプリント見える化ソフト。
すでにサービスも始まっているそうで、上(↑)のリンクから会員登録すると使えます。
・いろいろ質問に答えていくと、月当たりのカーボンフットプリントが計測できる。
・クレジットがかえて、目標からオーバーしてしまった分のカーボンフットプリントをオフセットできる
という仕立てのようです。
このサービス以外にも、
・クレジットカード会社との提携で、明細からカーボンフットプリントを計算(統計による概算値)する
・提携するお店のリサイクルなどに参加することで、Becozポイントなどの付与を受けられるなどなどのおまけがうけられる
などなど、利用者のモチベーションを上げるしくみがありそうです。
これは、いろいろ使ってみて、他のアプリとの比較もしようとおもいます。
「POSデータにカーボンフットプリントのデータを埋め込んで、電子レシート単位で集計できれば、製品・サービス別の集計が簡単にできますよね!」とお話してみたところ
『いろんなメーカーさんとお話しています』
とのこと!
スマートレシート連携すれば、エクセルいらずでカーボンフットプリントをリアルに集計できる日が近いかも。
期待に胸が膨らみます。何卒よろしくお願いします。
Zeroboard



こちらも企業向けカーボンフットプリント見える化の大手様。何か新しいもの出てるかなーと思ってブースを除いてみると
・英語、タイ語の多言語対応
・海外主要国の原単位反映、カスタマイズ機能
が乗ってきていました。進化しています。
あと、建設業界や物流向けのソリューションが新しく出てきていて、”サプライチェーンを通して実データでGHG排出量を見える化する”というZeroboardの戦略がいかんなく発揮されています。
e-dash
三井物産系の企業向けカーボンフットプリント見える化サービスを展開されています。経理入力する請求書入力と連携するので、二重の入力作業が不要なところが推し、と理解しております。
春には、e-dash homeという消費者向けのサービスもロードマップにはあるとのことでしたが、残念ながら具体的なリリース日は決まっていないとのこと。母体が商社だしなー、企業向けが優先なのかしら。
太陽光パネル、蓄電ソリューションいろいろ
建材で発電 その1-ENERGY GAP



建材で太陽光発電できるモジュールも色々出てきていて、こちらは、透過性のあるモジュールと、木目やレンガ調の模様がついているパネル。
おもしろいですねー!
建材で発電 その2-AGC
”素材でがんばるAGC” でもガラスと一体型のパネルありましたー。

太陽の角度にあわせて動くパネル LC-Japan


柱の先にパネルがついていて、太陽が動くとともに追いかけていくというしくみらしい。自動クリーニング機能付き。積雪対策にもなるとのこと。なるほどなー。
パネル関連では、他にも雑草対策とか、崩れやすい土地の補強をしつつ緑化をするソリューションとか、パネルおそうじロボットとか展示している会社もあって、やっぱり人手をかけずにどうメンテするか現場は苦労しているんだろうなと思いました。
屋根におくだけ太陽光発電パネル (株)ルーファーズ

パネルと架台が一体になっていて、乗っけるだけで工事が完了するという優れもの。
「あまりよろしくない業者さんに屋根壊されて、住宅の補償も追加工事なのでつかえず」みたいな太陽光パネルの設置事故とか聞くと、こういうのだと安心かもと思ったり。
屋上のスペースをレンタルして太陽光発電するときとか、現状回復も楽でよろしいんじゃないでしょうか?
太陽熱のソリューションって、最近こうなってたのね!
太陽光発電に押されてましたが、1件だけ太陽熱の展示もありました。
屋根上の太陽熱利用ということだと「朝〇ソーラじゃけん」しかしらなかったので、最近のものを見れて良かったです。
温水をつくるパイプが複数ならんでいるような感じです。

基調講演 ”2050年カーボンニュートラル実現に向けた風力発電の将来展望”
洋上風力政策の現状について by資源エネルギー庁 風力政策室 室長 石井 孝裕 様
こちらのセッションでは資料の撮影OKのコメントがあり、(ほぼ)すべての資料を画像で残すことができました。詳細気になる方はこちら。
洋上風力発電の位置づけ
・風力政策室は昨年からの新設部署
・2030年のエネルギーミックスで目指しているターゲットは、 陸上風力17.9GW,洋上風力5.7GW
・洋上風力に注力する理由は、
①大量導入のポテンシャルが高く、
②安価な電力供給が見込め、
③部品点数(2-3万点)の構造物で、経済的な波及効果が大きいこと。
洋上風力促進の政策動向
・政府としては、推進のために案件創出のしくみづくりを行ってきた。
港湾法改正(2016年7月施行)、再エネ海域利用法(2019年4月施行)などの法整備、促進地域指定のプロセス策定、地域のステークホルダーとの調整の仕組みなどを整備してきた。
・今後はパブコメの結果も踏まえ、公募、評価プロセスの改善や、日本版セントラル方式に基づく環境アセスメントの一元化・迅速化、人材育成に向けた取り組みを行っていく。
・また、系統電力網についての課題(系統空き容量の不足、再エネ拡大による調整力の向上、余剰再エネ電力の有効活用)などの声も挙げられており、現在北海道から首都圏への直流送電線などの地域間連携線の増強計画、GI基金での技術開発促進にも取り組んでいる。
エネルギー安全保障と脱炭素への取り組みによって推進される風力の未来 by Siemens Gamesa 社長 ケイト・ラッセル 様

Siemens Gamesaの風力発電の取り組みについて
・Siemens Gamesaは風力発電の世界的リーダー。世界で累計124.5GWの設置実績。近く親会社のSiemensの出資が67ー>100%に上がる
・日本では600MWの陸上風力、112MWの洋上風力の設置実績があり、2030年には800MWに拡大予定
風力発電の動向
・海外では風力発電への投資は活発。ドイツでは、2030年までに陸上風力 110GW、洋上風力30GWの導入予定。イギリスでは50GWの洋上風力への投資予定。
・日本は世界で3番目の洋上風力のポテンシャルはあるものの、太陽光発電の取り組みに比べ風力発電が遅れており、電源構成で現在占める割合は1%のみ。OECD各国で最下位。
日本への提言
・今後政府の再エネ拡大プランの計画を実現するためには、毎年1.47GWの風力発電の導入が必要な見込み。目標達成のための提言としては、下記の通り
-複雑かつ長期のアセスメント、承認プロセスの改善
-電力供給網の逼迫の解決
-プロジェクトの大型化。世界的な1プロジェクトの規模は1GWだが、日本の平均は約0.4GW
-地域のステークホルダーとの調整など、ベンダー間で重複する作業の効率化。地域貢献の点数配分の増加
-入札後の結果に対する明確なフィードバック
Siemens Gamesa の今後の取り組み
・石狩での洋上風力の展開が終わったところ。1基 8MW、総発電能力112MW。
・今後もタービンのサイズは大きくなり、より効率化、低コストな発電ができるようになる。
2024-2025年で1基15-17MWの発電能力がある製品が出てくる見込み。年末にさらなるアナウンスが予定されている。
・洋上浮体式発電の実績も2009年からある。
・風力発電の電力による水素製造はデンマークで商用稼働済み(Brande Hydrogenプロジェクト)。オペレーションもSiemensが実施している
・Aqua Ventusプロジェクトでは水素パイプラインの構築も行っている。
会場講演 Enechange ”電力需給ひっ迫時の調整力をつくるエネチェンジの家庭向けDRサービスについて”


こちらは、消費者や電力小売り事業者向けにVPPのプラットフォームを提供するEnechangeさんの講演です。
・2019年から累計40万世帯がキャンペーンに参加している
・消費者が楽しく、DRに協力できるようサービスを提供している。メッセージメインの「行動変容型」と機器の電力消費を管理する「機器制御型」の2つのタイプで提供中。
・昨今の節電プログラム促進事業(環境省)、節電マネジメント事業(東京都)などの発表もあり、電力小売り事業者からの問い合わせが殺到中。
・年末に向けて各事業者は、節電促進のための方針決定しているが、主には3パターン。
① ERABのベースライン算定方法に基づいて、省エネの量を算定(今後の主流)、②前年同月比で省エネの量を算定、③何もしない
・消費者がたのしく節電できるよう、UIやメッセージについても工夫を凝らしている
楽しく、続けるというのは何より大事ですよね!ぜひ、うちの設備できればVPPキャンペーンに登録して使ってみたいと思います。
特別講演 ” 化学・鉄鋼が取組む脱炭素の最前線”
住友化学の2050年カーボンニュートラルに向けたグランドデザイン by 住友化学 副社長 上田 博 様
住友化学の計画
・2050年に向けたカーボンニュートラルの計画は、CDPのSBT認定済み。2030年 50%減、2050年 カーボンニュートラルを目指す。
・住友化学のカーボンフットプリントの85%はScope1由来。エネルギー由来が70%となっている。(化学メーカーの特徴)
カーボンニュートラルに向けた取り組みの紹介
・ノルウェーのVERAと協業し、アンモニアの利用。
・プロピレンオキサイド単産法(たぶん内容はこれ、ウレタンやポリウレタンの材料みたい。副産物が少なくエネルギー効率がよい、らしい)
・カーボンフットプリントの化学会社用の算定ツールを作成(CFP-TOMO、AccessとExcel)、無償提供中。
・プラスチック資源循環の取り組み
MEGURIブランドとして展開している。
-マテリアルリサイクルとしては、モノマテリアルの包装容器を製品化。いままで印字する部分をナイロンで作っていたが、スミクル(ポリエチレン)でおきかえることで、包装材がポリエチレン単一の材料になりリサイクルが容易
-ケミカルリサイクルとしては、産総研、島根大学と一緒にオレフィン、エタノールの製造を研究中。(GI基金対象)
・排水処理
微生物の最適化をおこない、GHG排出を15%削減できる。自社工場への展開のほか、自治体の排水処理にも提案中
・菌根菌
植物のCO2吸収量を増やすことができる。EcoDACとして販売している
・CCU
・CO2分離膜
京大のスタートアップ(たぶんOOYOO) と共同研究している。工場の排ガスからCO2分離できる膜の研究
・メタンからの水素製造
マイクロ波をつかってメタンから水素を生産する技術の開発中。2030年代前半に数万トン規模で商用化予定
カーボンニュートラルに向けたJFEスチールの取り組みと課題 by JFEスチール 手塚 宏之 様
カーボンニュートラルに一番遠い産業-鉄
・製鉄所は1つの町。東京ドーム300個分、千代田区と同じ面積の敷地内には、製鉄以外に港、発電、排水処理などの設備もあり。
・製鉄は産業から排出されるGHGのうち4割を占めており、まだ削減のための確たる技術が確立されていない分野。カーボンニュートラルに一番遠い産業
・2024年までに2013年比24%削減、2030年までに30%以上が目標
鉄を作る方法
・製鉄プロセスとして、鉄鉱石から酸素を還元して鉄にする方法は2つ
1) 石炭(C)を利用する 発熱反応なので、酸素還元と同時に鉄を溶かすこともでき、成型が楽。
2)水素(H)を利用する 吸熱反応なのでほおっておいても反応が進まない。鉄を溶かすための熱を足す必要がある。
現在、高炉法(従来の鉄鉱石と石炭を炉に入れる方法。CO2排出量は 2.0t)、電気炉法(スクラップ鉄を溶かして作る方法、CO2排出量は0.5t)、直接還元製鉄法(現在の全世界での生産量の10%ほど。天然ガスの産地で行われる、CO2排出量は1-1.5t)
・今後中国やアフリカを中心にまだまだ鉄の需要・生産は増える見込み。(世界の2015年の生産量は16億トン、2050年の予想は28億トン)
カーボンニュートラルに向けた取り組み
・高炉法では日本が一番エネルギー効率が良く、10-30%ほかの国にくらべて優れているものの、さらにカーボンニュートラルに向け短期、長期の施策を両方やっていく必要がある。
・(直近、既存設備の有効活用)カーボンリサイクル高炉
高炉法で出るCO2を水素と反応させてメタンにし、高炉に戻して燃焼する(全CO2排出の3割)、残りの7割のCO2はCCUのサイクルにのせ、基礎化学品の材料として利用。廃プラを高炉の燃料として利用する
・(長期施策) 直接水素還元製鉄
高温の水素を高炉に入れ、酸素還元させる。加熱するためのエネルギーの他、多くの水素が必要なため安全性の問題もある。小さな規模から開発と実証を積み重ねる必要がある。
・カーボンニュートラルに寄与する社会貢献
洋上風力発電用鋼板の提供(風力発電の装置は、全長360mの鉄の構造物)
EVモーター用の高級双方向性電磁鋼板の提供(バッテリーに電力を戻すときのロスを削減できる)
・実現のためには研究開発1000億、製造設備5000億規模の投資が必要。また大量の水素、再エネ電気が必要となるため、技術の社会実装の状況をみながらの実施が必要。
1日目はこんなところでございました!
ここから2日目です。長くてすいません。
2日目も会場30分前くらいに海浜幕張につきましたが、すでに幕張メッセへの長ーい人の列が。みんな朝早いんだな。。。
基調講演 ”次世代電力プラットフォーム構築の最前線”
電力ネットワークの次世代化 by資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力産業・市場室 室長補佐 郷原 遼 様

次世代の電力プラットフォームについて、2019年に議論していた内容はこちら。

(2019年7月16日 第8回 次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会 資料7)
これを具現化する形で、第六次エネルギー基本計画や関連法規の整備を行ってきている。
政策動向
①配電事業制度
分散型電源に対応するために整備された。系統の借入や譲り受けをして、面での運用ができるようにしている。
利用イメージとしては・市町村規模での管理
・街区規模で蓄電池を使ったBCP強化、街区のブランディング
・離島の運用効率化 など。
とくに、AI IoTなどの技術を持つベンチャーが参入することにより、効率化、レジリエンス向上、再エネ導入、地産地消の促進がされることを期待している。
②アグリゲーター(特定卸供給事業)ライセンスの創出
電気事業法でアグリゲータを位置づけた。 登録制
③特定計量制度
電気メーターなど測定する機器は、計量法指定の機能や試験に対応する必要がある。EVや充電器など、機器のデータの利用もできるよう計量法の対象外にしている。
④電力データ活用制度
個人情報の保護と電力事業者によるデータ活用の両立をめざしてつくられた。今後( 一社)電力データ管理組合で運用される。
データ活用の方法としては、
電力需要の調整、宅急便の在宅確認、見守りサービス、地域特化したマーケティングなどの事例がある。
今後の展開
①レベニューキャップ制度
2023年から開始、一版送電事業者が5年おきに事業計画を提出。電力・ガス取引監視等委員会で、適正な投資が適正コストで行われているか審査を行う。
現在10社から出ている5年間の投資総額は8882億円、うち、6660億円が脱炭素関連になっている。
② 次世代スマートメータ―
メーターは10おきに取り換えが義務付けられており、次世代スマートメータ―は2025年~2030年代前半に展開予定。
30分値、5分値での計測や、応答機能による隠れ停電の検出、WiFi経由で機器との接続ができる機能を搭載
今後の課題
・エネルギーリソースの価値をどこでどのように評価するか?
(スマートメータ―接続のエアコンは省エネするが、接続していないエアコンを多く使うなどの状況をどうするか?)
・スマートメータ―とそれ以外の計測データの誤差をどうするか?
・需給調整市場への低圧リソースの参入
(感想)
電力業界もこのところだいぶ荒れ模様で、再エネ普及によるダックカーブの問題だったり、送電線の不足だったり、いろんな課題が見えてくるなか、大きなロードマップの話がきけて良かったです。
期待していた、DRに向けた具体的な政策は聞けなかったのはやや残念だったかも。
データドリブンな事業運営に向けた取組み by 東京電力パワーグリッド(株) 技術・業務革新推進室 室長 種橋 章 様

東京電力パワーグリッドの管理している送電網の規模は、鉄塔 4.4万本、送電線4.1万キロ
(くらくらします・・・)
DXの目指す姿
・グリッドのデジタル化
・デジタルソリューションの収益化
・データドリブンな事業運営
・人材活用
社内ではデジタル化を3段階のフェーズとしてとらえている。
・Digital Patch(DP)部門内・人手作業の削減
・Digital Integration(DI)組織横断的な全社規模でのデジタル化
・Digital Transfirnation(DX)社外との協業を含む、自社を超えたデジタル化
データ活用の取り組み事例
・需要家のニーズ分析
・出向ルート最適化
・業務量の予測
・経営予測
現在、技術・業務革新推進室 データ戦略・高度化グループに在籍している20名を中心にデータ活用を推進中
ニーズ把握→データ整備→分析 をリードしている。
最近の取り組み
・需要予測モデルをミクロ単位、30分ごとで行い、需要予測を精緻化
スマートメータ―のデータを使った、コロナ禍での歌舞伎町での業務用電気使用量の需要変化のデータ。発生直後よりも、1年目は19時のピークが+19.6%増加,ニ年目でさらに+7.4%かつ24時の消費量が増加しているのがわかる。
・設備劣化の予測
柱上変圧器(電柱の上に載ってるごみバケツみたいやつ)は、設置場所や糞害によって劣化が進みやすい。
いままでは、つけた年月日の情報をもとに古いものから順に交換していたが、場所、糞害実績などのデータから優先順位付けして交換している。
島だと海風にさらされるので、劣化が早い。島専用の予測モデルを作った。
・GIS(地理情報システム、3Dデータ)を活用した地理空間分析
設備点検用のドローンがとべない地上150m以上の箇所を特定
通信保安網の、データを地図に重ねて管理業務を効率化
・高圧電線の要対応箇所予測
故障履歴や風、地理条件から対応が必要な個所を予測。3Dのマップ上で見えるかしている。
・送電鉄塔のさび検知
(いままで)
作業員3人で鉄塔に登りサビの状況を確認。検査に4時間、レポート作成に1時間
(これから)
作業員2名でドローンをつかって画像撮影 2時間、さび判定やレポートはAIで自動作成。
・変電所の油漏れ検知
(いままで)
目視で確認
(これから)
カメラ画像をAIで処理。効率化はもちろん確認頻度も挙げられる。
今後の取り組み
・現在目的別に画像をとっているが、1つの画像から必要部分を抜き出して分析・利用できないかを検討・
・自社で取得する画像データだけでなく、ドライブレコーダなど社外の画像データを有効活用できないか検討中
(感想)
最新の取り組みについて、多くの事例を実例の写真を交えて話してもらいとても分かりやすかった。文字にするとわかりにくくて残念・・・セミナー資料はデータで配布してもらいたいな、本当に。
会場講演 ”RE100電力だからこそ実現できる持続可能な脱炭素経営ソリューション” by RE100電力(株)


企業向けの自家消費向け太陽光発電、蓄電池の導入を支援されている会社です。
とてもよかったのが、オンサイトPPA、自己託送、オフサイトPPAのコスト比較。
それぞれ、モデルケースでの1kWhあたりのコストは
・オンサイトPPA 15.x円
・自己託送 17.x円
・オフサイトPPA 29.x 円
とのこと。
また、蓄電池を併用することで、電力料金が高い夕方夜間の電気を自家消費して、採算性を上げていくということができるということです。
RE100電力としては、自己託送モデルのための、発電量シュミレーションや運用請負のサービスも持っているとのこと、今後は自己託送+蓄電池のモデルで提案を進めていくとのお話でした!
会場講演 ”オランダ風力発電入札とサプライチェーン” by オランダ大使館


今回展示会に出ているオランダからの出展社、13社の紹介がありました。
オランダの風力発電は数十年の歴史があるということで、主にエンジニアリング会社や、風力発電関連の人材提供、輸送、関連製品メーカーでした。
大使館の方から、最近のオランダでの洋上風力のプロジェクトが紹介されていました
・broomberg
・hollandse kust (プロジェクトは3地域に分かれている)
それぞれ、750MW x 2くらいの発電能力の大型プロジェクトです。
安全に、スピーディーに、かつコストメリットも出しながら進めるために、
・業者選定は許可制
・送電については国が責任をもつ
・公募書類などすべて英語
・現場の情報などはDNVが一括して行い、情報提供。業者はそれに基づいてプロジェクト計画を作成して、入札を行う
・ローカルコンテンツの対応は不要
という制度設計とのことです。
オランダの自国の電力需要はピーク時で19GW
洋上風力と太陽光発電で 2030年には21GW、2050年には 72GWの発電能力を持つ見込み。余剰電力の水素での貯蔵や、他国への配電についても取り組んでいくとのことでした。
また、北海への展開に備え、浮体式の風力発電での取り組みも進めるとのことです。
特別講演"サステナブル社会を見据えた電池ビジネスの戦略とは?"
"FREYRパートナーシップ・ビジネスモデルによるサステナブルな電池製造" by FREYR Battery Co-Founder CEO Tom Jensen 様
ノルウェーは脱炭素のリーダー
・ノルウェーでは、すでに80%の電力を再生可能エネルギーで賄っており100%に向けまい進中。
・新車販売のうち 90%は電気自動車、現在使われている車の20%はEVになっている。
会社概要 (こちらが企業サイト)
・FREYR Batteryは2018年ノルウェー発祥の会社。
・リチウムイオンバッテリーのセル製造から始まり、いろんな会社との提携を通して、上流・下流のプロセスに業務範囲を拡大してきた。
・2030年にヨーロッパで最大規模の200GWのリチウムイオンバッテリー生産能力を獲得すべく、現在15か国でビジネスをしている。
事業展開について
・世界の脱炭素の活動の75%にはバッテリーが寄与できる。Speed、Scale、Sustainabilityをモットーに事業展開を進めている。
2021年NY株式市場に上場、今後もGIGA Factory(年間バッテリー生産能力がGW級の向上)などの大規模な設備投資、稼働開始に向けた準備が進む。
・Customer Qualification Plant @ノルウェー北部
協業先の企業と一緒に製品化前のサンプルのテスト、エンジニアのトレーニング、バッテリーと最終製品のすりあわせなどを実施する施設。2022年末のオペレーション開始を目指している。
(ニューヨーク上場の10日後にアナウンスしたんだからね!と何回も言ってました。ビジネス展開のスピードにはかなり自信がありそうです。)
・Giga Arctic Factory - Norway@ノルウェー北部
リチウムイオンバッテリー生産能力30GW/年になる予定。2024年前半の稼働開始をめざす。
その後も、米国やノルウェー拠点での展開も計画中
日本企業との協業
・日本企業との協業としては、講演2日前に発表された日本電産(NIDEC)との合弁会社設立が大きなニュース。
このパートナリングにより、バッテリー単体だけではなく、下流のモジュール側も対応できるようになる。
(供給量 38GW、30億ドル規模のお客様がすでについている。オプションとして50GW、40億ドル規模まで拡大する可能性あり、と話していた気がするが、ちょっと聞き取りに自信なし。。。)
・原料調達については、伊藤忠商事ともパートナーシップがあり、調達をおこなっている。
”Absolute Zero Carbon Footprint” を目指す
・2020年時点でのバッテリーのコスト構造で、一番大きい割合をしめているのがエネルギー。
・カーボンフットプリントやコストを下げるために、FREYRでは一貫してバッテリー構造やプロセスのシンプル化に取り組んできた。
これにより、新しい工場では、従業員1名あたりの生産量を3倍に拡大できる見込み。
カーボンフットプリントの削減としても、現在80%の削減まで達成している。
・ノルウェイの豊富な再エネを生かし、またサプライチェーン全体での取り組みを行うことで、今後はネットゼロではなく、製品カーボンフットプリントをゼロにする。
クリーンでグリーンなバッテリーメーカーとして貢献する。
・日本はバッテリー分野でのシェアを最近落としてきたが、FREYRと組むことで再びマーケットの主要なプレイヤーになってほしいと思っている。
"バッテリーリサイクルの新時代" by UmicoreBattery Recycling Solutions, Business Director, Charles Stuyck様
残念ながら渡航できずということで、録画での講演となりました。
バッテリーリサイクル市場は急拡大中
・今後2030年に向け、バッテリーリサイクル市場はCAGR(年平均成長率) 65%で拡大していき、2030年代以降も成長は続く見込み。
バッテリー製造には、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、リチウム(Li)などが必要だが、需要が急増しており価格も上がり続けている。
EUのリサイクル関連規制
EUでは循環型社会への転換に向けた各種の規制設けられており、リサイクルの需要を後押ししている
・リサイクル効率(Recycling Efficiency) 2030年時点で70%以上
・金属回収率(Metal Recovery Rate)2030年時点で、コバルト(Co)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)は95%以上、リチウム(Li)は70%以上
・リサイクル原料利用率(Recycled Content) 2030年時点で、コバルト(Co)12%、ニッケル(Ni)、リチウム(Li)は4%
高効率のリサイクルを推進するだけでなく、製品へのリサイクル材料利用を義務づけていることが重要。
これにより、リサイクルした材料が新しい製品に生かされる輪ができることになる。
バッテリーリサイクルの難しさ
・スクラップやプロセスのボリュームを確保して、効率的にリサイクルを行うことが必要。
・リチウムイオンバッテリーは2010年ごろから利用されてきているが、年代ごとに使われている原料の化学組成が違っていたり、製品によるばらつきがある。
Pyro-Hydro-併用方式による、高い生産性
・より大量のリサイクルを高効率に行うために、UmicoreではPyro-Hydro-併用方式を用いている。
(このあたりで頭が???になり、それぞれの方式の利点、欠点なども詳しく語ってくれたのだが、理解が追い付かず・・・Wikiします)
Pyrometallurgy (たぶん これ)
乾式製錬(かんしきせいれん、または乾式冶金)は、金属製錬工学の一分野である。原料である鉱物や精鉱を熱処理することで、物理的あるいは化学的に変化させ、有用な金属を回収する。
Hydrometallurgy(たぶん これ)
湿式製錬(しっしきせいれん、または湿式冶金)は、金属を鉱石から取り出す手法の一つである。湿式製錬は金属製錬工学の一分野であり、鉱石や精鉱、リサイクル原料、残渣から金属を回収するために水溶液の化学を利用するものである。
Pyro-Hydro-併用方式によって、多様な種類のスクラップに対応でき、大量に処理できるので、稼働コストの削減率35%を達成し、リサイクル材の高い生産性も実現できている。前述の2030年のEU規制はすでにクリア済み。
今後の取り組み
・現在2035年までにネットゼロを達成すべく取り組んでいる。
・今後北米でのビジネス展開も予定している。
以上
長ーい、ながい記事で大変失礼しました。何かのお役に立てば幸いです!
Have a good and eco weekend!!
ご意見、感想、新しいアイディアなど、なんでもコメントいただけると、ものすごくうれしいです。