じっけん! やってみる! よくしる!

温暖化対策 実証実験 Phase1まとめ

2022-09-17

2022.09.20

こんな実験でした

2020年時点で、日本人一人当たりが一年間に出しているライフサイクルカーボンフットプリントは 7650 kg。気候変動の被害を極力くいとめるための1.5℃シナリオを実現するためには、これを2030年までに2500kg2050年には700kgにしなければならないといわれています。(参照 ”はかって、へらそう1.5℃大作戦” さ・え・ら書房 刊)

巨額の投資が環境対策に向けられる見込みですし、企業からもカーボンニュートラルの宣言が相次いだ2021年。

でも本当にあと9年で3分の一にできるのか?!
大変ギモンです。

そこで、都内マンションくらし、3人家族のわが家で、現状のカーボンフットプリントの計測と、対策をした後の計測をおこない、本当に2030年の目標まで到達できるものなのかを実験してみました。



対策検討の方針

  • 引っ越しや、大規模なリノベーション、家事の大幅な時間増などは行わず、都内に住む人がいまの場所・仕事をつづけながらできることを実施する
  • 対策は基本的に、楽天・アマゾンなどで簡単に入手できる方法で行う

段取り

  1. 事前準備-2021年 年末 計測のためのテンプレートを準備
  2. 現状の計測ー2022年1月いっぱい、それまで通りの暮らし方をしつつ、データを収集→カーボンフットプリントの計測
  3. 対策準備、対策実施―1月の結果をもとに、削減のための対策を検討、実施 (2022年2月)
  4. 対策後の計測ー2022年3月、対策実施後のデータを収集→カーボンフットプリントの計測

    ※ 計測方法は、IGES発行のこちらのレポートを参照して、計算しました!(そこに至るまでの紆余曲折、や詳細はこちら
    1.5°Cライフスタイル― 脱炭素型の暮らしを実現する選択肢 ―
    https://www.iges.or.jp/jp/publication_documents/pub/technicalreport/jp/10464/1_5_report_A4_FINAL_REPORT_j_web.pdf

こんな対策をしました

こちらが、対策前(1月)と対策後(3月)のわが家の比較です。

すまい(きいろ)の対策

1月の計測で、2番目に排出が多かった項目でした。

1再エネ電気契約

前々から気になりつつ、手をつけられていなかった、再エネ100%電気への切り替えをおこないました。電気料金は年間で1万円弱お安くなりました。

2ガスから電気への変更、ガスの削減

1-3月の利用量がものすごいことになっていた、ガスの削減。
・電気に変えられるものについては、電化(床暖房→エアコン、ガスコンロ→IHクッキングヒーター(レンタル)変更)
・雨の日の洗濯には、ガスを使う”おふろ乾燥”は利用せず、”室内干し+エアコン除湿” を使うようにしました

3節電

・冷蔵庫並みに電気を使っていることがわかった、ウォーターサーバーを撤去しました。
・ありとあらゆる家電に節電設定を入れました
・トイレ、脱衣所、クローゼットの電気消し忘れが多かったので、電球をセンサー付きのLEDに変えました
・暖房・冷房の効率を上げるために、窓の断熱をおこないました。それまでカーテンなしや薄いカーテンだった小窓は断熱カーテンにし、南側の大きな窓は、カーテンの裾を床まで伸ばして気密性を高めました。

4ベランダ発電

ベランダでの太陽光発電は、色々制約条件が多くあまりうまくいっていません。
・共用部なので設置ができないため、泣く泣くキャンプ用のポータブルパネル(200W)とバッテリーで対応。買った製品もいまいちのため、発電効率・充放電効率が悪い
・ベランダだと夏は影がかかるところが出るため、発電能力の10%ほどしか発電できない時間帯がある。

いろんな課題はありつつも、実験のため購入した機材は、昼間の発電で夕食をつくるためのIH Cooking Heaterで使っています。

5節水

節水シャワーヘッドを利用する
・おふろの水をつかって掃除や洗濯をする
など、節水を行うことで、温水をつくるためのガスの削減にもつながっています。

食べ物(ピンク)の対策

6乳製品の削減

1月の計測結果で、食のカーボンフットプリントの一番の排出源が乳製品でした。
大人については、牛乳ー>豆乳ヨーグルトー>豆乳グルト への変更や、ヴィーガンバターなどを使って、乳製品の購入量を削減しました。

7 まとめて買い物

なるべく2-3日分をまとめて買い物し、食材を使いまわしたり、冷蔵庫にあるもので何とかするという機会を増やしました。
経済的なだけでなく、食材を無駄にする機会が減った、気がします。

8 肉の削減

対策実施前は、わりとこま切れ肉など「今日は使わないかもしれないけどキープで」とか「3パック1000円」とか遠慮なく買っていましたが、お肉はここ一番!にとっておき、それ以外はお肉以外の食材(魚介や、練り物)にしたり、買う量を必要な分だけにするようにしました。
お肉料理の時も、対策前は、1kgの牛肉でビーフシチュー作っていましたが、牛すじ 500g とたくさんのお野菜で牛すじのワイン煮込みにしたり、色々探求中です。

今ではどのスーパーでも割と手に入るようになった、乾燥やパウチの大豆ミートをつかって「大豆ミートでどこまで家族をだませるか」実験 もしました。

いどう(水色)の対策

9カーシェアでハイブリッド車を選ぶ

自家用車を持っておらず、もともとは電車・バス派だったのですが、コロナの感染予防や遠方への習いごと対応のため、週に1~2回カーシェアを利用しています。

最近は、ハイブリッドカーも近所で増えてきているので、なるべくハイブリッド車で予約するようにしています。

計測のテンプレートでは、ガソリンの自家用車しか対応していなさそうなので、「カーシェア かつ ハイブリッド」の場合のカーボンフットプリントを測ることができませんでした。そのため効果計測不可としています。

10なるべくシェアバイク

ちょっと歩くのがつらい距離の時は、電車・バス・タクシーなどをつかっていましたが、なるべくシェアバイクで出かけるようにしました。
上の項目と同じく、「シェアバイクかつ電動」の時の計測方法が不明のため、効果計測不可としています。

その他(消費財、サービス、レジャー)に関する項目

3月は誕生日のおねだりをしてしまったり、季節のクリーニングのための費用が発生したりと、全体的にふえてしまいました・・・効果計測不可ですが削減のための2つの取り組みをしています。

11固形洗剤・固形シャンプーなどの利用

水分をふくむ液体洗剤と、固形のモノを比べると容量が少なくなるため、流通に関するカーボンフットプリントは固体洗剤の方が低くなります。

不要な洗剤などをクエン酸、重曹などを利用したおそうじに変えたり、洗濯洗剤、食洗器用洗剤などを液体から固体のものに変更する、固形シャンプー、コンディショナーを利用するなど、洗剤・シャンプー類の見直しを行いました。

12脱プラ Phase1

石油、石炭などをエネルギーとして利用するときだけでなく、素材としてプラスチックなどの日用品を製造・利用・廃棄する過程でも温室効果ガスが発生します。
今回は
マイクロプラスチックやナノプラスチックなど、環境への流失を防ぐ
体内に取り込む可能性のあるプラスチック、添加物を防ぐ
ことを目的にして、キッチン・お風呂場などの掃除用品、ベランダの洗濯用品、キッチンのプラスチック製品、を中心に代替品に変更しています。

大田区では残念ながら、ペットボトル、食品トレーなどの限られた包装材のリサイクルしかしていないため、リタイアした製品は現在わが家の巨大なごみ袋で、プラスチック製品のリサイクル開始を待ち続けております。

月あたり11.9%、年間あたり11.5%のカーボンフットプリントを削減

対策実施前の1月のカーボンフットプリントは 489 kg-CO2e/年・人 でしたが、対策実施後の3月実測値は 422 kg-CO2e/年・人 となり、11.9%の減少となりました。
1年間の試算では11.5%の削減予定となります (電力・ガス利用の季節変動を含むため、月間の削減率と異なる)

まだまだ、2030年日本平均の目標値である2500 kg までには、半減の努力が必要ですが、一定の効果は上げられました。

電気・ガスの削減効果

電気について
③省エネ、④ベランダ発電などによる効果で、使用量(ミドリ 線グラフ)を削減することができました。しかしながら、夏場の利用量が増えており(おそらくエアコン・ゲームが怪しい)今後の課題となりました。

カーボンフットプリントについては、再エネ100%電気にすることで大幅削減となりました(ミドリ棒グラフ、ほぼみえない・・・)


ガスについて

②での電化、節ガスの効果で使用量(アオ 棒グラフ)の大幅削減ができています。
家族が床暖房だいすきなので、このままエアコン暖房を次の冬にも続けられるかが課題です。

電気のように大幅に排出係数を削減できるサービスが現時点はないため、ガス各社で取り組んでいる技術革新や商用への展開が待たれます。

今後に向けて

がんばった!

なんだかんだ、準備から今回のまとめまで10か月たってしまいましたが、がんばってやってよかったかなと思えるのは、こちら!

  • 自分が今の生活で出しているカーボンフットプリントを、(ある程度)自分の納得のいく方法で計測、見えるかできた
  • 制約条件の中で、10%以上の削減2030年まであと半分の結果までは近づけた

Phase2でやりたいこと

色々今回できなかったことや、カーボンフットプリント計測方法の進化など、今後やりたいこともたくさん見えてきました。

  • Phase1 年間予想値の確認
    • 継続的にログをのこして、予想値と実測値を比較する
  • 計測方法の精緻化
    • 計測項目の深堀: 現在”肉”にまとまっている、牛肉、鶏肉など、排出係数の大きさに大きな違いがあるものを区分けできるようにしたい
    • 産地・流通経路の反映:海外産、国産、できれば近郊など、生産・製造された場所によって、流通にかかるカーボンフットプリントが変わってくるため、それを反映したい
    • (究極的には、個別製品・サービスごとの排出係数を利用して、よりリアルに近い数値を把握する
  • カンタン便利な測り方の探索
    • みんなが手間をかけず、いい感じの精度ではかれる方法を探す
  • Phase1でできなかった項目の挑戦
    • マンション共用部での太陽光発電の検討(規約変更など壁が多く、Phase1では暫定措置のみ)
    • 給湯器の電化、レンタルしているIHクッキングヒーターの長期対応
    • (プラスチック製品リサイクル開始後) ごみ計測のBefore After、プラごみの削減

ぜひぜひ、知恵やアドバイス、情報ご存じの方、教えていただけると大変助かります。

Gokui

目に見える、数字になるから、面白い、自宅のカーボンフットプリント

by まつい えこ

本日も、長文の実証実験Phase1まとめを読んでいただきどうもありがとうございました! Have a nice and eco Day!

ご意見、感想、新しいアイディアなど、なんでもコメントいただけると、ものすごくうれしいです。

-じっけん!, やってみる!, よくしる!