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【CEATEC2022】完全オフグリッド、移動するすまい。WHOLE EARTH CUBE

2022-10-20

WHOLE EARTH CUBEってなんだ?

今回のCEATEC2022でみごとパートナーズ部門 グランプリを受賞された、WHOLE EARTH CUBE

完全オフグリッドモバイルユニット

でございます。こんなかんじの!!

オフグリッドなところ

電気や上下水道につながっていなくても、暮らしが維持できます。電気は屋根の太陽光発電で作った電気を、蓄電池にためられます。

また、雨水や生活排水を処理して再利用できる水処理ユニットを搭載しており、上水道、下水道が使えない環境でも、普通にキッチンで料理して、お風呂入って、トイレしてという生活を継続できます。

完全”オフグリッド

お天気が悪かったり、太陽光発電で作った電気が足りないときのバックアップ電源が準備されています。LPG(いわゆる家庭用プロパンガス)を利用して自家発電を動かすことができます

モバイルユニット

写真みてお気づきになりましたか??

なんと!こちらの構造物、すべての居住空間がちょうどコンテナ1台分の大きさに収められていて、トレーラーにつなげて移動できるのです。なので見た目は「ちっちゃい家」ですが、法律上は「車両」。住宅ではないのですー!!まじかー。

外装だけでなく、中も無垢材がふんだんに使われていて、居心地の良い空間が作られています。

今回は、CEATEC2022の会場にてWHOLE EARTH CUBEを開発、販売されている、北良株式会社、WOTA株式会社、MUSVI株式会社の皆さんに、こちらの製品を開発してきた熱い想いを伺ってきました!

スタートは「医療的ケアが必要な方を救う。被災しても安心して暮らせる」場所づくり

構造部分の開発、製造を担当されている北良株式会社は岩手県北上市に拠点をもつ会社です。2011年の東日本大震災では、同県でも多くの被害がでました。
自宅で呼吸器をつけて療養されている方など、電気を使う医療機器が必要な被災者の方にとって、停電は自分の命に係わる大きな危機。

北良さんは、在宅での医療ケアが必要な方が被災したとしても、「安心して快適に過ごせる場所づくり」を目指して開発をスタートされました。今回CEATEC2022の会場で展示されている、このWHOLE EARTH CUBEはなんと5代目の製品です!その長い道のりから得られた工夫と想いが、いろんなところに埋め込まれています。

構造物


外壁などにふんだんにつかわれている木材は、地元の岩手産です。とにかく消費エネルギーを少なくしながら、快適な生活を送れるよう断熱性が追及されています。

それでいながら、大きな窓が2面にありとても自然光を取り入れやすい構造です。一番部屋の中で熱伝導率が高い窓には、3重ガラス、樹脂サッシが使われています。

壁にぼちぼち穴が開いてるの、、、気づかれました?これ、アウトドアや避難生活のとき、必要なものをすぐ壁ボルト止めする工夫なんです。今回の展示では、アウトドア用シャワー、コンポストで育てる野菜、フックにはサーフボードがきれいに壁にレイアウトされておりました。ステキ♪

居住部分はすべて一体のコンテナサイズです。
今回取材に伺ったときは、一般の展示が始まる前日。多くの会社さんがまだ展示ブース準備中でしたが、こちらのWHOLE EARTH CUBEのブースは朝トレーラーで牽引して会場入りし、数時間後にはすべて準備が整っていたそうです。災害時にもこの機動力は効いてきそうですね!

確実な電気の供給

展示会場では、上からの写真が取れませんでしたので、パンフレットから屋根の写真をお借りしてきましたー!

©北良 株式会社 WHOLE EARTH CUBEのパンフレットより

屋根の上に、発電容量4.8kWのパネルを設置し、創った電気を15.4kWhの蓄電池にためることができます。
わが家の3部屋のマンション、断熱ぼろい家で夏場エアコンを使うときが一番電力消費が多く、ひと月480kWhくらいなのですが、ちょうど1日分の平均が15.4kWhです。寒冷地の暖房の時はもう少し必要かもしれませんが、WHOLE EARCH CUBEであれば空間が限られており、断熱も利いているので、数日は快適に過ごせそうですね。

再エネ発電でいつも問題になるのは、”お天気任せ”であること。。。。発電量が十分でないときのバックアップを用意しておく必要があります。WHOLE EARTH CUBEには、あらかじめ代替用の電源を供給するための発電機も備えられており、家庭用プロパンガスでの発電に対応できます。

もちろん燃料を利用した自家発電の場合、CO2は出てしまいますが、在宅医療が必要な方に安定して電力を供給するための仕組みです。
地域で普及しているプロパンガスを利用することで、支援の手が届かないときも発電を継続できる工夫がされています。

将来的には、メタネーションガスや水素など、カーボンフットプリントの低い燃料が出回るようになれば、代替電源のカーボンフットプリントも抑えられるようになるかもしれませんね!

驚異の98%!水の再利用

北良さんとタッグを組んで、水回りの自給自足を支えているのが WOTA 株式会社さんです。小規模分散型水処理システムを得意としている会社さん。

このWHOLE EARCH CUBEの後方に水タンクが積まれていて、キッチン、シャワー、トイレなどの水回りに供給されていますが、つかったお水や屋根を伝って集められた雨水はすべて

  • 微生物処理
  • 処理
  • 殺菌処理

がされて、再度また生活用水として使うことができます!

トイレのお水も処理すれば、普通の飲み水や生活用水として使えるということですが、心理面を考慮して処理や配水の経路を分けているということです。

確か、ビルゲイツ財団が投資していたアフリカ向けのトイレでも、「人間が出す」→「水処理する」&「メタンと太陽光で発電」→「飲み水と電気を提供」 していた記憶。(あってるかな)

もう今までの常識が覆されるような商品開発や技術がどんどん出てきてます。使う方がマインドセットも変えなきゃいけない時代なのかなあ。

人とのつながり、生活を支えるサービスとのつながり

中に入るとリビングのところに、姿見の鏡みたいなものが立ってます。これ、実はMUSVI株式会社の開発された「窓」という次世代コミュニケーション装置なんです!
(お兄さんは実は別の場所の「窓」に向かって立っています)

最初どうしてビデオ会議ツール的なものが必要なのか、、、よくわからなかったので、MUSVIさんにお話をお聞きしました。

こちらは災害時でも人と人とのつながり、医療や教育など必要なサービスをその場にいなくても提供できるように準備されているとのこと。

皆さんビデオ会議ツールというとお仕事で使うTeamsや、プライベートでも触れる機会の多いZoomが思い浮かぶ方が多いと思うのですが、スケジュールしたり、接続したり、まだまだ本当に「ビデオ会議を始める」までのステップって多いですよね。

こちらの「窓」は、「お部屋の窓のように何もしなくてもつながれる」というコンセプト

向こう側をいつでものぞける窓としていつもお部屋の中にあります。ビデオ会議の開始や終了も自動なので、ほおっておけばそのままつながってます。

お着換えや、今はちょっと・・・というときも大丈夫!リモコンでポチポチするとバーチャルカーテンが発動!

今は着替え中、姿は見せられないが、声は出せる

という時は、画像だけぼかすモード。

姿も、声も消すでござる

の時は、画像をぼかす & 音も消す モード
が使えます!

操作もリモコン操作なので、お年寄りや子供にも使いやすいですね。

祝!パートナーズ部門グランプリ!!

ちょうど取材に伺っていた時に、グランプリの賞状が皆さんのところに届くといううれしい瞬間に立ち会うことができました!ついでに、WHOLE EARTH CUBEで記念撮影もさせていただきましたー!!

あふれる笑顔をお福分けです。

それぞれステキなパッションを持った3つの会社の老若男女混成チームです♪
皆さんの想いがあったからこそ、住む人の生活の隅々まで配慮された、楽しくて、安心で、環境に配慮したWHOLE EARTH CUBEという製品が生まれたのだと思います。
本当に心から!今回のご受賞おめでとうございました。

災害の多い日本での災害対策としてはもちろん、

  • オフグリッドを目指したい人の住まい、
  • 複数拠点生活の住まいとして、
  • アウトドアとインドアを融合した自然の中の暮らしの拠点、
  • 設置条件が厳しい山小屋や漁師小屋などの代わりとしても、
  • 絶海の孤島、秘湯リゾート

などなど、色々な可能性がある製品だと感じました。

ますますの進化とビジネスのご成功を応援しております!!

~ ご参考情報 ~

北良株式会社

昭和25年からガスの販売を開始。家庭用LPガスの他、多種多様な産業用ガス、医療用ガスの提供をしている企業です。2011年東日本大震災後、「災害で命を落とす人をもう一人もだしたくない」との想いから、災害に強い社会づくりに資する人材の育成と機器の開発を行っています。

WHOLE EARTH CUBE 特設サイト

今回展示されていました、WHOLE EARTH CUBEの哲学、今回ご紹介しきれなかった製品詳細やスペック情報、ユースケースなどが掲載されています。拡張モジュールの提供予定もあるようです!
ステキなサイトなのでぜひ一度ご覧ください。

WOTA 株式会社

東京都日本橋に拠点をもつ、小規模分散型水処理の製品を開発、製造、販売している会社です。商品ラインナップには、今回WHOLE EARTH CUBEに搭載されている、小規模分散型水循環システムの他、持ち運び可能なWOTA BOX。店舗などで水道がないところでも手洗いできるWOSHがあります。

日本の水道システムは長年大規模処理システムで維持してきましたが、特に人口減少地、過疎地では世帯当たりのコスト負担ができず、設備更新ができない、民営化したが運営会社と住民の間でトラブルが発生するなどの問題も起きてきています。WOTAのような個別の住宅、設備で水処理システムを持つことができれば、大規模処理システムの維持、上下水道管の定期交換などの負担を解消することができるかもしれません。(まつい私見)

水道関連の情報については、こちらもどうぞー
【地球のしごと大学 レポート】流域経済圏と水資源 〜命の源流のマネジメント〜

MUSVI 株式会社

東京都品川区の会社です。SONYで長年インタラクションデザイン、人と人をつなぐコンサルティングを続けてきた阪井さんがスピンアウトして創業されました。

「ビデオ製品」を超えた、人と人とが臨場感を持ってつながる「窓」の、開発、製造、販売をされています。

「窓」パンフレット

今日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございました!
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