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話題の東京都 ”太陽光発電義務化” 条例 パブコメに参加してみた

2022-06-24

2022.06.24 (2022.09.09 アップデート)

みなさまこんにちはー。まついえこです。

梅雨に入ったと思ったら、東京は現在酷暑が始まり・・・クーラーが手放せない季節が到来しました。

先週、先々週とアップしていた、
共用部の呪い ~分譲マンションで太陽光発電はできるのか!?~ (前編)
共用部の呪い ~分譲マンションで太陽光発電はできるのか!?~ (後編)
でのつらーい経験を踏まえまして、今話題の”東京都太陽光義務化”に関するパブコメを本日提出いたしました。(絶賛期限ぎりぎりの募集最終日 v)

現在検討されている条例の1分解説と今回提出した私のパブコメの概要をお届けします。

正式名称:都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)

ながっ!
今回の意見募集の対象となっているは、東京都が目指している2050年のカーボンニュートラル、および2030年のカーボンハーフ(初めて聞いたわ。キューピーハーフみたいだわ)に向けた政策と条例の見直しのために検討した内容の中間とりまとめです。

まだ条例の文書にはなっておらず、検討のポイントと政策の方向性が書かれています。

産業や輸送にかかわるCO2排出が2020年比である程度減ってきているのに対して、業務、家庭などの住宅関連のCO2排出がなかなか減らない現状にあって、今回の中間とりまとめの内容としては、

  • 大規模事業者
  • 中小事業者
  • 住宅供給事業者

を対象として

  • 住宅性能(とくに断熱)
  • 再エネの導入促進(主に屋根置きの太陽光パネルを想定)
  • リサイクル材の活用などによるCO2削減
  • ビルのゼロエミッション化
  • 大規模開発、地域でのゼロエミッション化

がテーマとして、案がまとめられています。

自治体の資料としては、わりに見やすく、図表多め、文字少な目でもあるので、お時間と興味のある方はぜひ見てみてください。

パブコメ対象資料:

都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)の改正について(中間のまとめ)(PDF:8,030KB)

今、ニュースやTwitterを賑わせている、「戸建てへの設置義務化」は、ちょっと正確ではなく。。。実際に検討の俎上にあがっているのは

  • 中・小規模住宅(1棟2000㎡)を年間2万㎡以上供給している事業者(いわゆるホームメーカー)が対象
  • ”義務化”というと立地条件も要件も問わず全部にパネル乗せなきゃいけない!みたいなものをイメージしちゃいますが、実際に検討されているのは、各事業者ごとに年間でクリアすべき最低基準を設けて、年間トータルで基準以上の発電設備を導入することを義務付ける、というもの

でした。報道のせいかも知れないけれど、結構事実と違う内容とかトンチンカンな反対意見も垣間見る今日この頃。

こちらの、東京大学大学院の前准教授の記事が、とてもよく論点整理されていると思いますので、賛成の方も反対の方も読んでみるとスッキリするとおもいます。

輸入パネルを使うのは売国、東京は曇りが多い…「太陽光義務化」への批判10項目を、東大准教授が完全論破する
むしろ化石資源の既得権益をぶっ壊す最大のチャンス

https://president.jp/articles/-/58676

。。。9ページの力作です。。。すごいですね。

まつい えこ パブコメ概要

自宅での苦い経験や、昨今の技術の進展などもふまえまして、こんな提言をしてみました。

意見内容の文面が固くて読みづらいですがすいません、本日提出した文面そのまま掲載させていただきます。

新築だけじゃなくて、既設の住宅も脱炭素対応していきませんか?

新築住宅について大手事業者に対する再エネ設備義務化は、今までの補助金での推進政策から一歩踏み出しさらに再エネの普及促進を図る上で有効だと考える。また、最低基準についての考え方も、設置条件や物件の位置づけなど個別の事情を考慮し、事業者内で一定の裁量や柔軟性を確保できる上でバランスのとれたしくみと考えられる。

一方、残念ながら既設建築についての対応は、大規模事業者・中小規模事業所に限られており、既設住宅へのエネルギー効率の向上、再エネ発電設備の導入を通じて、今ある建物を長期にまたアップデートしながら脱炭素を進める方策が十分に検討されていないと考える。

昨年12月から都内分譲マンションで太陽光発電の導入を検討した際、多くの解決すべき課題が発見された。このような課題もふくめてどのように乗り越え普及を促進していけるかを検討していく余地があると考える。

【既設住宅、マンションに設置可能な再エネ発電製品の拡充】

多くの太陽光発電設備導入事業者が屋根もしくは野立て用の架台・パネルしか持っておらず、設置場所が限られるのが現状である。すでに、窓ガラスはめ込み型の太陽高発電商品(例 https://www.agc-gk.com/bldg/products/sunjoule/)、壁面設置型太陽光発電用架台(https://www.inoue-s.co.jp/products/wall/)、薄膜の太陽高発電フィルム(https://www.fcexpo.jp/ja-jp/search/2022-tokyo/product/details.exh-f2297b37-8a41-4e4a-810b-765d3d8df325.pro-affd4abc-2d4e-4274-a7a3-073bf9e449f0.html)などの販売が始まっており、いままで屋根や空き地に限られていた設置場所が大きく拡大できる余地がある。また中小型の風力発電、水力発電、地熱交換なども太陽光発電を補完する技術として検討できる余地がある。こういった屋根以外の設置の可能性が一番高いのは、都市化が進んでいる東京都であり、ベンチャー育成や実証事業を通して、再エネ発電のポテンシャルを拡大、日本・東京発の製品開発を推進すべきと考える。

【共用部における設置の壁】

現在、多くの分譲マンションで再エネ設備のとりつけが可能なのは、屋根・壁などの共用部となっている。またEV充電設備の導入も同じく共用部であるため、実際の導入前には組合員総数の4分の3の同意が必要となる規約改定が必須となる。また、初期導入コスト・運用コストなどトータルコスト・効果のシュミレーションや、パネル脱落などのリスクに対応するための保険の検討、運用時のメーカー・管理組合・管理会社の役割分担など、検討項目は多岐にわたる。個々の管理組合や導入メーカーごとの検討は現実的ではなく、導入の壁になることが予想される。個人・オーナー所有の住宅・ビルだけでなく、都内に多く存在している分譲マンション向けの共用部有効活用するために、メーカー、省庁、都の関連組織、管理組合などをふくめた検討推進のための体制づくりを提言する。

屋根置き太陽光だけじゃなく、もっといろいろできるんじゃない?

再エネ設備として、屋根置きの太陽光発電の導入数がたびたび言及されているが、

導入率=(導入済み住宅、もしくは非住宅の棟数)÷(屋根設置が可能な住宅、もしくは非住宅のポテンシャルがある棟数)

で計算されている。

しかしながら、設置条件や広さなどによって、本来発電量は全くちがってくるので、本来的には
導入率=(導入済み再エネ発電能力―経年劣化含む kW) ÷  (再エネ発電能力のポテンシャル kW)で計算すべきと考える。

また、最初のフェーズでは今一番普及している屋根置き、地面設置の太陽光パネルが第一候補となるやもしれないが、太陽光パネルだけでも

・カーポート、農地での設置

・壁面設置

・ガラス一体型

・薄膜フィルム型

など多くの種類が開発されている。

また、日当たりなどの条件が太陽光発電の要件に合わない場合

・中小型風力発電

もソリューションの候補になる。

東京都水道局では、現在浄水施設-給水塔間の水道で一部導入検討されているようだが、

・水道、河川をつかった中小規模水力発電

も有望である。(参考 群馬・藤岡市 水道施設で県内初の「マイクロ水力発電」導入 年間108トンのCO2削減記事。マイクロ水力事例。https://news.yahoo.co.jp/articles/3654f77ab5ee69bc8e38b604044375e3c5aea397

日々拡大する様々な再エネ発電技術、蓄電技術を有効活用するために、環境審議会や下位の分科会など継続的な検討・推進体制と政策の定期的な見直しを行っていただくよう提言する。

公共設備でも色々やろうよ!

東京都やその中の市区村での公共設備での建物の性能向上、再エネ設備導入が全くうたわれておらず、公共設備での政策推進、活用についてもあわせて検討していくべきだと考える。

一例として、現在の脱炭素のための課題および公共設備の有効活用方法としては、下記のような案が考えられる

【電力不足、ダックカーブ問題】

すでに九州地方では晴天・昼間の太陽光発電の供給量が需要を上回り、価格がつかなくなってきている(0.1円/kWh)、そのため系統への接続制限が太陽光発電業者に課され予定していた事業収益(もしくは導入効果)が得られていない。一方、日本の都心部では電力不足が発生する、朝・夕の太陽光発電できない時間に系統電力への負荷が急速にかかり天候を読み間違えると電力不足が発生するなど電力需給不一致の問題が頻発している。

東京電力を中心にした、分散型エネルギーリソースの実証実験も始まっているようだが、(https://www.tepco.co.jp/press/release/2022/1663180_8712.html)、東京都も一大電力消費地を持つ自治体として、積極的に再エネ発電の有効活用、電力の安定供給に資する協力を行うべきである。
・都、市区町村による公共設備活用のための検討会の開設、事業者との協力推進

・公共設備(学校、消防、役所、公園、等)の一部スペースを、電力会社などにレンタルし、再エネ発電設備、および系統電力に接続し電力不足時に給電を行える蓄電設備、水電解+貯蔵+燃料電池(参考例 https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2021/2021060.html)の導入に協力

・公共設備における再エネ発電設備の導入、自家消費がすくない週末・休暇期間での売電・貯蔵

など幅広い協力ができると思われる。

【MaaS事業者への協力】

自動車の利用抑制や、シェアリングによるカーボンフットプリントの低減がうたわれる中、カーシェアリング、レンタルサイクルなどのポートの拡張が必要になっている。自治体所有の遊休地、公共設備の一画など、事業者への貸し出しをすることによって、利便性の向上や利用促進につなげることができる。

(大規模事業者向け)クレジット乱用はやめよう

一般的な再エネ100%電力も再エネでの発電を上回る需要については、クレジットを利用している。また、企業などの事業者がクレジット利用をしたゼロエミッション製品・サービスを利用する場合も、実質的な低減をこえる場合は商品・サービス提供者はクレジットを利用している。このように、事業者の排出削減策のほとんどにクレジットが使われる中で、さらに事業者によるクレジットの直接購入分を削減効果として加算することは、

  • 実質的な排出削減の努力を怠る事業者が出てきやすい
  • クレジットが高騰し、本当に必要な素材産業などの大幅なコストアップ、脱炭素目標の未達成につながる

などの問題が発生することが予測される。

仮にクレジット購入分を削減分として認める場合でも

  • クレジット以外の削減幅
  • クレジットで(帳尻あわせした分)の削減幅

を両面で継続的に報告を義務付け、適切なガイドを行うべきと考える。

トーシロながら、今理解している範囲できちんと意見を表明しておくことは重要かなと思いまして、今回は概要をおとどけしました。

・ここは間違ってるぞ

・こういう案もあるぞ

・もう、ここまですすんでいるぞ

コメントも歓迎です、ぜひダイレクトメッセージが↓のコメント欄でおしらせくださいー。

いやー、ギリギリ締め切り間に合ってよかったです。たぶん本日中はWebフォームから提出できるので、挑戦される方はぜひぜひ!
Have a good week end!

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