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IPCC AR6を3分でザクザク読む

2022-04-14

みなさまこんにちは!まついえこです。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)という科学者の団体がまとめた新しいレポートが先週4月4日にされました。数年おきに出されるレポートで、その前は2014年に出た第5次評価報告書(AR5)でしたが、今回は8年ぶりに出たAR6となります。

本編は2900ページを超え、政策者向けサマリーも64ページです。まあまあのボリューム。

温暖化対策をうたうなら、サマリーくらいはよんでおかなきゃいけないだろ、と思いつつ。。。2週間が経過してしまいましたが、本日ようやく完了しました!!

勉強がてら『まつい版 超サマリー』を作りましたので。共有します。

なお、2週間後を目途に環境省から政策者向けサマリーの日本語訳確定版がでます。お急ぎでないかたはそちらをご覧ください。
(私も日本語版出たら、答え合わせします♪)

IPCC AR6 超サマリー

  • 2010年から2019年の10年間に排出された温暖化ガスは、過去最高になった。しかし、増加率は2000年から2009年の10年間よりも緩やかになっている。(レポート内項目番号 B.1)
  • 排出量削減に寄与する技術のコストは2010年から継続的に減ってきた。これは政策、世界規模での展開を支援する政策によるもの。(中略)途上国での技術革新は遅れている。(B.4)(青字日本語はまつい追記)
  • 各国が掲げている温暖化ガス削減目標 (NDC、Nationally Determined Contributions、2021年10月-11月のCOP26以前にコミットしたもの)が実行されたとしても、21世紀中に1.5℃以上の気温上昇が予想される(67%以上の確率)。また気温上昇を2℃以内におさえるためにも、2030年以降の対策早期化が必要。(B.6)

グラフは各シナリオで必要となる、温暖化効果ガス排出量を示している

:既存の政策ベースの予測

薄い紫:COP26までに宣言された目標を達成した時の予測

紺色: 2030年まではNDCベース、その後気温上昇を2度までに抑える、もしくは1.5℃に戻すシナリオ

(まつい 命名 ”1.5℃リスキーシナリオ”

:気温上昇を2度までに抑えるシナリオ
(まつい 命名 ”2.0℃シナリオ”

水色:オーバーシュートなしで、1.5℃に抑えるシナリオ

(まつい 命名 ”1.5℃安心シナリオ”

”1.5℃安心シナリオ”では2050年に、 ”2.0℃シナリオ”では2070年にNetZeroになる

  • エネルギー産業では、化石燃料の大幅な削減、エネルギー媒体の転換、エネルギ効率の向上、省エネを含む大きな変革が必要。(C.4)
  • 産業界でのCO2ネットゼロは、課題もあるが可能。バリューチェーン全体で以下のような低減措置を行っていく必要がある。デマンドマネジメント、エネルギー・素材の効率向上、循環型の素材利用、除去技術の利用やプロセス変革。温暖化ガスを排出しない、または低減できる電気、水素、燃料を利用した新しい生産プロセス、カーボンマネジメント。(C.5)
  • 需要側での排出低減には、インフラの利用、技術の適用、社会・文化的な変更、行動の変更が必要になる。(C.10、下図参照、青字 松井追記)
  • CDR(Carbon Deoxide Reduction、二酸化炭素除去技術)がネットゼロ達成には不可欠である。(C.11)
  • 1トン当たりのコストが100USDを切れば、2019年の排出量の少なくとも半分を削減できる。(C.12)2030年時点で予想される、各技術のポテンシャルは下記のとおり。(青字 まつい 追記)

以上、超サマリーでした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。Have a good week end!!

~ ご参考情報 ~

IPCC AR6
”Sixth Assessment Report, Climate Change 2022: Mitigation of Climate Change”

https://www.ipcc.ch/report/sixth-assessment-report-working-group-3/
IPCC AR6/WG3報告書の政策決定者向け要約の概要
環境省の日本語訳、4月14日現在まだ確定版になっていません。5月上旬確定・リリース予定。
ー>(9/3) 5月12日付の暫定訳が最新版のようです ↓

https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/IPCC_AR6_WG1_SPM_JP_20220512.pdf

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