2023.4.25 改定
飛行機に乗ってしまったので・・・
先日、20年ぶりくらいに大阪に行きまして、、、マイルが溜まってたので飛行機に乗ってしまいました。すいません。。。(環境負荷低減のためには、せめて新幹線で行く、が良い選択だと思います。)
久しぶりにJAL機内誌もパラパラしていてみつけました! 飛行機搭乗分のカーボンフットプリントをクレジット購入でオフセット(相殺)できるプログラム があるのですね!
JALカーボンオフセット

- 空港を選んで、エコノミーかプレミアムエコノミーかとかを入れて、人数入力ー>排出量が計算される
- 支払い情報入れる
必要な処理はこれだけです。カンタン!
ユーザーが購入したお金は、森林の保全や再エネ発電のプロジェクトなど、GHG排出量の削減やに寄与するプロジェクトにお金が回ることで
・飛行機に乗ることで排出された温室効果ガス
と
・投資先のプロジェクトで削減される温室効果ガス
が相殺される
という仕組みです。
JALさんの本意ではないと思いますが、購入前にログインとか必要なかったので、他社フライトの分も問題なく計算ー>購入することはできると思います。
購入後マイレージ番号と紐づけする処理をするとマイルももらえそうですが・・・紐づけ中に失敗してそこまでたどり着きませんでした
さて、
東京(羽田)- 大阪(伊丹)、エコノミー、3人分
387kg-CO2eq, 1150円でクレジット購入したよー
とツイートしたところ、ある方からこんなご質問をいただきました。
素朴なギモン ~『 飛行機に1人追加で乗った場合のCO2排出量 』って、、、~
いつも思うんですが、飛行機なり電車なり車なり、『1人が追加で乗った場合のCO2排出量』の比較とか数字って、どうなっているんでしょうね?
(経済学で言う限界費用みたいな考え方) 既に飛んでる飛行機なら、1人増えても影響なさそうですし。 と、皆が言いだすと駄目なんですけど。
た、たしかにー。
私が乗っても乗らなくても JAL111便 は飛んで行っただろうし、確かにあの巨大な飛行機の重量を考えたら人間1人増えたところであんまり総重量は変わらない気もします。
ちなみに当日の飛行機はA350でした。JALさんのホームページによると、最大離陸重量は217 トン。 まつい1名+荷物の重さが ざっくり0.1トンだとしても、飛行機全体の重量からすると0.5%くらい。燃料増加とかもそんなになさそうです。
その時は、適当に考えて適当にリプしてしまいましたが ←オイ!
やっぱりモヤっとするので、今日は『 飛行機に1人追加で乗った場合のCO2排出量 』はどのように計算されているか、について調べてみようと思います。
私が買った 3人分、 東京(羽田)- 大阪(伊丹)→ 387kg-CO2eq の排出がどのように計算されているかも、きっとわかるはず、です。
CHOOOSE社の計算方法はここにあった!
紆余曲折を経て、CHOOOSE社の計算方法書いてある解説を発見!(ここまでくるのに実は3週間くらいかかっている 涙)
JALカーボンオフセット画面 > 入力ポチポチする画面の一番右下だった!!


この解説によると、
- 国際民間航空機関(ICAO)の区間平均排出係数データ で 計算したCO2排出量
- 英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省 の出してる、放射強制因子 =1.0
から計算して、最終的なカーボンフットプリントの量(kg-CO2e) をだしてるってことですね。
国際民間航空機関(ICAO)の方から調べていく
、国際民間航空機関(ICAO)って、なんじゃね?
国際民間航空機関(ICAO)とは
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page22_000755.html 外務省ホームページより引用
ICAOは、国際航空運送業務やハイジャック対策をはじめとするテロ対策等のための条約の作成、国際航空運送の安全・保安等に関する国際標準・勧告方式やガイドラインの作成等を行っています。また、国際航空分野における気候変動対策を含む環境保護問題についても議論及び対策が進められています。
ICAO Carbon Emissions Calculatorという、排出量算定ツールもありました!
使い方はCOOOSEと同じですね! 空港と、人数と、座席クラスと片道・往復を選んで、ぽちっと。


250.2 kg-CO2eq だ。。。(CHOOOSEのときの 387 kg-CO2eqよりも、137 kg-CO2eq分少ない。)これが、
- 国際民間航空機関(ICAO)の区間平均排出係数データ で 計算したCO2排出量
になっているはずですね。
「どのようにCO2排出量を計算していますか?」の解説の中でリンクされていた、Methodology なる、計算方法を書いたドキュメントもチェックチェックです。 そうそう、こういう計算方法が知りたかったのよー。
まついのざっくりの理解ですが、2018年発行のこちらのドキュメントで解説されていた排出量の計算のしかたは、こんな感じ。

- 出発空港と到着空港から、データベースにある 飛行距離 と 航空機タイプを割り出す。そこから搭乗率 や 旅客-貨物比率を加味した 旅客分 の燃料消費量を算出 (左上→右上のライン)
- エコノミー一席あたりの排出量を単位として、プレミアムクラス分の係数や人数で最終排出量を計算(右上から右下のライン)
英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省 の出してる、放射強制因子 1.0 はどこに??
つづきまして、”英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省を参照” のところを探していきます。
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(ビジネス・エネルギー・さんぎょうせんりゃくしょう、英語: Department for Business, Energy and Industrial Strategy, BEIS)は、イギリスの行政機関の一つ。テリーザ・メイが2016年7月14日に首相に任命されたのを受けて、ビジネス・イノベーション・技能省とエネルギー・気候変動省が統合された結果、創設された。2023年2月7日、エネルギー安全保障・ネットゼロ省、商務貿易省、科学・技術・イノベーション省に分割再編され廃止された。
Wikipedia
とりあえずWiki。今年の2月まであったイギリスの省庁なんですな。
で、、、省庁の検索とか、グーグル検索してみるものの、強制放射(RF)=1.0 に該当するようなガイドするような文書が全くみつかりません。。。泣
今回も未完なのだろうか。。。(遠い目)
航空機、強制放射(RF)というキーワードで比較的該当しそうなものとしては、
Government conversion factors for company reporting of greenhouse gas emissions /企業向けGHG排出報告の係数について
というガイドブックでした。イギリスの企業がGHG排出量を測定・報告するときにどうやって計算するの?というガイドブックのようです。
2012年以降、Methodology paper なる説明文書もくっつくようになって、
その中に、"multiplier" to take account of non-CO2 effects / CO2以外の要素を加味するための”係数” という表現がありました。
- 航空機を飛ばすときに燃やす燃料由来の、直接的なGHG排出源として、二酸化炭素(CO2)がある。
- それ以外にも、影響をあたえるものとして、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2)、水蒸気、飛行機雲、窒素酸化物などがしられているが、それぞれに温暖化にプラス、マイナスの影響があり、メカニズムが複雑なためよくわかっていない
- IPCCで推奨されているのは、”Multiplier/係数” をつかって計算する方法で、概算方法としては、[CO2排出量] x [係数 1.9 ] で計算する。
意味合い的には、近そうな気がするのですが、2012-2022年の係数の数値はずっーーーと1.9。JALカーボンオフセットのページにあった1.0 に該当するものはないんですよね・・・
ここで手詰まりです。もうムリ
ホント毎度で申し訳ないのですが、このRFの係数のところ、何を参照してどんな計算をするのかとか、その意味とか、詳しい方がいれば教えてください!平にお願いいたします。
まとめ
いつも思うんですが、飛行機なり電車なり車なり、『1人が追加で乗った場合のCO2排出量』の比較とか数字って、どうなっているんでしょうね?
(経済学で言う限界費用みたいな考え方) 既に飛んでる飛行機なら、1人増えても影響なさそうですし。 と、皆が言いだすと駄目なんですけど。
こちらのお題についての回答は、こうなりました!
飛行機に乗った時の 温室効果ガス排出量 の計算の仕方 ( ICAO Carbon Emissions Calculator の計算方法)
- 出発空港と到着空港から、データベースにある 飛行距離 と 航空機タイプを割り出す。そこから搭乗率 や 旅客-貨物比率を加味した 旅客分 の燃料消費量を算出
- エコノミー一席あたりの排出量を単位として、プレミアムクラス分の係数や人数で最終排出量を計算
限界費用の考え方はあるか?
なさそう。
「100人までは飛行機全体分の燃料がかかるけど、101人目からは追加の燃料の排出量だけになる」みたいなしきいち値の設定はなかった。
CHOOOOSE社の計算方法はやはり不明
CHOOOSE社がどうやって計算しているか、質問してみたが当然回答はなくわからなかった。
Webの解説情報を頼りに、調べたところではCO2以外に気候変動に関連する物質がフライト中に排出されるため、それを計算するための ”係数” が設定されているらしい。
引用されていた ビジネス・エネルギー・産業戦略省 で探したが、係数のガイダンスは1.9になっており、Webページの解説にあった RF=1.0 と合致するものが見つからず、やっぱり不明。
やっぱりなあ、、、もともと知らないものでも、調べたらどうにかなるんじゃないかっていう最初の発想が安易だったのかなあ。。。
1件目は見事に打ち破れた感がありますが、不定期で挑戦していきたいと思います。
~ ご参考情報 ~
CHOOOSE 社
2017年 ノルウェーで設立された会社。
JALだけでなく、サウスイーストとかエアカナダ、LATAM航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、ノルウェー・シャトル、イベリア航空などいろんな航空会社や、Trip.com、アメックスのトラベル部門とか旅行手配業者、SAP Concurとかの経費精算の会社とかがお客様になっているようです。
排出量計算、サステナビリティスコアの算出、カーボンオフセット、レポートなどを提供するデジタルツールやAPIを一式提供するプラットフォームとのこと。
JALカーボンオフセット
2009年からカーボンオフセットのプログラムはあったものの、2022年2月にCHOOOSE社と提携したサービスに変えたようです。
随分前からやってたんですね、、、シラナカッタ。
国際民間航空機関(ICAO)のおもしろツールいろいろ
今回ご紹介した ICAO Carbon Emission Calculator もこちらのページからいけます!
他にも ICAO Green Meetings Calculator というツールもありました。
こちらは、いろんな拠点に人がいるとき、どこで落ち合うのが一番フライト由来のCO2排出が少なくできるか、という計算をしています。
ちなみに東京 2名、九州1名でやってみたら、「東京で集まるのが一番CO2排出量が少ない」「九州で集まる方法が2番目にすくない」
3番目以降は、富山、名古屋、八丈島(!?)、小松、輪島、大阪、庄内、神戸 とつづきました。
オンラインが一番排出量は少ないです。。。
日本各地とか世界各地から集まるイベントの企画のときとか・・・使ってみてはいかがでしょうか?
(旧)ビジネス・エネルギー・産業戦略省のガイダンス
文章中でご紹介させていただきました、企業向けのガイダンスの文書や計算エクセルはこちらからアクセスできます。
文章中では引用していませんが、ひたすら検索しているときに見つけた、CO2以外の影響因子、についての論文がありましたので、一応リンクしておきます。
The contribution of global aviation to anthropogenic climate forcing for 2000 to 2018
えっと、CO2は温暖化の要因になるけど、一酸化窒素は短期的には温暖化要因として働くが長期的には冷却要因となる(合計値は温暖化促進要因)、煤や硫黄によるエアロゾルは冷却要因。
RFをつかうか、ERFを使う(推奨)があって、かつ20年、50年、100年のスパンで数値が違う??
みたいな雰囲気のまとめ論文です。たぶん、気候変動のシュミレーションとかに使われる基礎研究をまとめたもので、そのあたりの知見の人に解説してもらわないとわからない。(泣)
人間にはがんばってどうにかなるものと、がんばってもどうにもならないものとがあるのだ。
本日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございました!
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