6月からお世話になっている 地球のしごと大学 教養学部 今までは、現地でのフィールドワーク行けてなかったのですが、本丸の岩手フィールドワークでようやく!リアル参加することができました。岩手だけでも4講座あるのですが、まずは ”乳牛”の認識を新たにしました、山地酪農 の回からご報告させていただきます。
山地酪農(やまちらくのう)って何?
今回お邪魔しましたのは、岩手県田野畑村 山地酪農 (志ろがねの牧)さん。1974年から岩手に移住し、山地酪農一筋で道を切り開いてきた、創業者の吉塚公雄 先生に教えていただきました。
山地酪農?山の中に牛放すの?と訪問前は頭の中にはてながいっぱい、、、だったのですが、実際の様子はこちら!

11月上旬、紅葉まっさかりの岩手の山間に、牧場が広がっています。牛の種類は乳牛のホルスタイン。木の間とか、草の斜面とか、思い思いの場所で草を食べています。
牛がもぐもぐする音、風が木立を抜ける音、時々の鳥の声が響く中、時間はゆっくりゆっくりと、静かに流れていきます。平和だなあ。
山地酪農とは、
山地酪農とは、牛の生命力を生かし、一年中牧山に放牧する酪農スタイルのことです。
植物生態学者の 故 楢原恭爾 博士が提唱・実践指導したもので、日本に多い中山間地(傾斜地)と在来野草ニホンシバを主に活用した酪農です。
田野畑 山地酪農牛乳 公式パンフレット p1より抜粋
こちらの公式HPにも詳しく解説されています!
え、、、牛って山に住むの?
吉塚先生によると 「牛は森林の動物、馬は草原の動物」ということで、ホルスタインも草だけでなく、楓、ナラなどの木の葉や落ち葉を食べるらしいです。知らなかった!
(でも 朴や胡桃の木は食べないらしい。好みがあるのね。)
なので、もともと木の生えているところに住むのはへっちゃら。

今回お邪魔した山も結構な傾斜なのですが、”牛道”という道をつくって、歩くところだけ平らにして歩きやすくするんですって!
牛の足元にある平らなところが”牛道”です。
こんな感じで斜面も活用するので30度とか45度とかの傾斜地でも普通に歩くらしい。人間が山の斜面に道路作るのと一緒ですよね。
道具もなくみんなで歩いて道作るなんて、かしこい。
見学中に森の中でのんびりしてて、みんながいる方に追われてたお母さん牛が一頭いたのですが、崖のような斜面を駆け下りてました。
1頭500kgの動物が走るとすごい迫力です。牛って、、、走れたんだな。すっげー!
何を食べてるの?
こちらの牛さんたちが食べているのは、ニホンシバという在来種のシバと普通に生えてる野草です。
ワラビだらけになったりしないように、早春に「そうじ刈り」といって、食べない草を刈る作業をします。そのあとは基本的に牛さんがぜんぶ野草も含めて食べるそう。
- 100%グラスフェッドの牛乳や乳製品はちょっと黄色い色。草に含まれるカロテンがお乳にも出てくる
- 季節によって草の生え方も変わるので
-春:春草のフレッシュな香り
-夏:あっさり風味
-秋~冬: 濃厚な風味
と牛乳の味が変わっていく
らしいです。知らなかった!牛乳って白くて、一年中同じ味かと思っていた。。。
ニホンシバが優れているところは、なんといっても栄養価が高く、やせ地にも強いところ。また、根ががっちり土壌を支えているので、大雨・台風のときにも表土の流出を守ってくれます。
普通の牧場では、5種混合、7種混合という牧草の種をまいて草を育てるそうなのですが、全部春草のミックスのため、夏暑いと弱ってきてしまうそう。ニホンシバと自然に生える夏草なら、暑さにも強いです。
今後、気候変動で気温がさらに上がってきたときの飼料として、役立ってくれそうです。
え、じゃあ冬は!?
吉塚先生のところの牛さんたちは、冬も同じく ニホンシバ + 野草 を食べています。岩手には早く冬が来るため、実に7カ月分の冬用飼料を準備!! する必要があるとのこと。
和牛のおよそ2倍食べるんだそうですよ。。。大食漢。牛を育てる上ではまず「腹いっぱい食わせてやる」ことがゼッタイ必要。
分かります、私もおっぱいあげてた時は、めちゃくちゃおなか減りましたよ。食べても食べても太らなくて本当に夢のようでした。。。。(遠い目)
ためしに、7カ月分の飼料をつくるのに必要な草を計算してみる。
乳牛1頭が食べる一日の草の量 =体重の 1/10 !!
仮に体重500 kgだとすると、1日分が 50kg です。(50kgの草の量を思い浮かべて、ちょっと気絶しそう)
吉塚先生のところにいる、おかあさん牛は約 30頭なので、7か月分確保するのに必要な草の量は
50 (kg) x 30 (頭)x 30 (日)x 7 (か月)=315,000 (kg)=315 トン!?
。。。乾かして軽くしてもなお、膨大な量です。。。
飼料用の草は牧山とは別の敷地で育てられているということで、これを寒くなるまえにひたすら刈って、ロールにする作業を毎年しているらしい。。。愛情たっぷり、餌たっぷりで育てられているんですね。感謝です。
当日も吉塚先生の息子さんが、えさやりされていました。牧山内にいい感じに牛の糞が分散して、また土壌に栄養として戻るよう、フォークで広げていくのがポイントということです。


水は??
乳牛を育てるのには、飲み水もたくさん必要です。その量 100リットル/日・頭 以上。。。
このところの穀物の急騰に加えて、大量の水も必要で、飼育コストがめちゃくちゃ上がって赤字になるというニュース、、、今年はよく見ます。
吉塚先生のところは、牧山内に川がながれている好立地。牛さんが勝手に川にいって、勝手に飲んでくれるます。水道代もいりません。
ここまで、山地酪農について教えていただきました!
基本的には ”生えてくれる草を食べ、敷地に流れる水をのみ、お乳を出してもらう”、牛の自然な暮らし方を再現した酪農であることがよくわかりました!!
吉塚先生も
- 日本には多くの利用できていない斜面がある。牧山であればその土地で牛を飼うことで生産することができる
- 輸入穀物には、積み下ろし前、後も大量の薬品がかけられている。草であればその必要もなく、自給率も上げられる
- ”牛も健康、人も健康” 1000年続けられる方法
ということで、「SDGs最先端!」とおっしゃっていました。
祝!! ワールドチーズアワード2022 銀賞!!
こうして愛情豊かに、自然の中で育てられた牛のお乳がおいしくないわけはなく! ちょうど見学に伺った日の前日に、世界のチーズ最高峰を競うワールドチーズアワードで、この牛たちの牛乳かたつくられたフラグシップチーズ 白仙(山地ダブルクリーム)がみごと! 銀賞を受賞しました!!!
祝! 白仙 (山地ダブルクリーム)
ワールドチーズアワード 銀賞受賞!!
山地酪農をこの岩手県田野畑の地で始められた 吉塚先生、そして、北海道のチーズ工房での修業を経て2018年田野畑での加工で製品づくりに携われてきた息子さんの共同作品です。
白仙 (山地ダブルクリーム)は、
● 2019年 にっぽんの宝物 JAPAN大会 グランプリ
● 2020年 ジャパンチーズアワード 最優秀賞
を受賞しています。
今回はそれに続き、ついに世界で認められるチーズとして銀賞を勝ち取りました。本当に、心から、おめでとうございます!!!
この先、おなかがすいている人、ワイン飲みたくなったら困る人注意
どんなのか、見たいでしょ??うふふ。。。実はうちにあるんです!!(自慢)

公式パンフレットからの 白仙 (山地ダブルクリーム) 商品説明
田野畑山地酪農牛乳の生クリームを添加し、ピンク岩塩を加えて2週間熟成させたフレッシュチーズ。
酸味の効いたクセのない爽やかな味わいですが、日がたつにつれ、外から中心にむかって熟成が進むことで、岩塩がチーズと馴染み深みのある味わいとトロットした食感に変化します。
このように2度楽しめる点が、「白仙」の最大の特徴です
田野畑酪農牛乳 公式パンフレットより
やばい、めっちゃおいしそう。
これ見学からほどなく購入していたんです。
でも、こちらの製品説明をみて、家族に食べられないよう梱包しなおして、冷蔵庫の奥に隠しておいたやつー。熟成もばっちり!もう絶対今日はワインな日。
(12月4日)ご報告
ついに・・・ついに! 賞味期限最終日に、熟成版 白仙 (山地 ダブルクリーム)をいただきましたー!!
中心部のわずかな部分を残して熟成が進み、ナイフできれないほど とろっとろ! スプーンですくっていただきます。
濃厚な白カビ感、とろとろのチーズの風味がぶわーっと! !これはうまい!!
フレッシュのときは、ミドルボディーくらいの白ワインでいただきたいなーというかんでしたが、熟成マンモス!に仕上がったら、ちょっとタンニンが香る赤が良い気がします。
うまい!うますぎるー。
ちょっとずつ大事に食べようとおもったけれど、、、あとちょっと、あとちょっとの繰り返し & 家族との争奪戦 で一晩でなくなってしまいました。。。
見学後には、牛乳、モッツアレラ、白仙(山地ダブルクリーム)の試食をさせていただける機会があったのですが、白仙以外もすごいです!
山地酪農牛乳

飲み口はさわやかに、さらっと。でも喉を通るころに生クリームのような芳醇な香りがふわっとひろがります。
吉塚先生 「これでクリームシチューつくると絶品ですわ!」
いや、まちがいなくおいしいと思うんですけど、もったいなくないですか?ドバドバ入れちゃうんですよね!?
根強いファンもいて、「いままで牛乳でおなかの調子悪かった人も飲めました!」とか、「今まで牛乳嫌いだったけどこれなら飲めます。」というお客様の声がとどくそうです。飲んでみるとその理由がわかります。間違いない。
モッツァレラチーズ

このモッツァレラチーズも、ものすごくおいしくてですね、
試食の時の冷やしている状態ではフレッシュでミルクの甘みが感じられて「白ワイン、白ワインをくれ!」と悶えました。
自宅で購入したやつを、今度はマルゲリータのピザの上にのせるとですね、
なめらかに とろーーーーっと のびて、華やかに香るチーズ感。
あっためたらあっためたで、めちゃくちゃ美味しいんです。
1パックすぐなくなっちゃうんので、3-4個まとめて買って、加熱なしの料理と緩めに加熱する料理とで食べ分けるのがゲキオシ!
あれ・・・地球のしごと大学のレポートだったよね。。。食レポに流れ気味ですが、お伝えしたかったのは
これを食べないで死ぬのはもったいない。牛乳、チーズの概念を変える素晴らしさ!
です。
本当は、教えると売り切れが続出して自分も買えなくなりそうな気もするし、ほんとはイヤなんだけど。
頑張っている吉塚先生ご一家を応援したいし、こんなにおいしい牛乳やチーズがあるのをもっと多くの人に知ってほしい。身を切られる思いで、↓ 購入先へのボタンをつけておきます。

おねがいします! 買い占めないでください!!
-より多くの方に幸せがいきわたるよう、大量買いご遠慮ください。
-まついも、まだ白仙を熟成させたラフィネ、ヨーグルト、バターを買いたいです。虎視眈々と狙っています。
-大量買いしたひとは、私がIPをたどって報復にいくかもしれません(そんなスキルがあったらね・・・いいよね)
吉塚 公雄 先生の生き方

改めまして、今回 山地酪農の講義をしていただきました、吉塚 公雄 先生です。
気概にあふれる、トガッテるキャラクター
すっごく元気で、酪農のみならず政治や社会の仕組みにも精通していて、日本の酪農をリードするぞ!という気概に満ちた面
まわりの方への共感と感謝にあふれた やさしい キャラクター
東京農大で最先端の山地酪農を勉強し、岩手に移住するも 用地取得に3年、電気もなくランプで暮らす生活がそこから10年、生産にこぎつけても牛乳への加工や販路を確保できず本当に本当にピンチになって。。。1996年に玉砕覚悟でプライベートブランド”田野畑山地酪農牛乳”を立ち上げ。
人生のなかで苦労とピンチを乗り越えてきたそのご経験と、その時助けてくれた方への深い感謝が笑顔ににじみ出ています。
両面をあわせもつ、魅力的な先生です。
ちょうど今週2022に年11月30日に、先生の初ご著作 『ひと草楽薬 -草は牛よ 穀物は人よ-』が出版されました!

(12月13日現在)製本版は公式通販ページから購入できます。Kindle版も出ました!
ぜひぜひ読んでみてください!
最後に、先生のお話から心に残っているフレーズを共有して、今回のレポートとさせていただきたいと思います。
嘘は絶対ついちゃだめ
みんな一生懸命やっている。自分の方法が一番だと信じていても、他の人を非難しちゃだめ
起きてしまうことはしょうがない。つらくてもつらいといっちゃだめ
がんばっていると、助けてくれるひとが現れる
駆け出し環境活動家(9か月目、社会的には無職)本当に勇気と元気をいただきました。
山地酪農という知識に加えて、自分の信じた道を切り開いていく生き方を教えていただきました。今後「つらいな、続けられるかな・・・」というときには、またこの時のノートを見返してみます。
今回の牧山見学とご講義、どうもありがとうございました!!
~ ご参考情報 ~
田野畑 山地酪農牛乳 公式ホームページ
公式ホームページはこちら!Blogでは吉塚先生の熱い想いや、山地酪農についての記事が読めます。
田野畑 山地酪農牛乳 通販サイト
今回ご紹介した商品も含め、おいしい牛乳、チーズ、ヨーグルトの他、季節限定商品もでてきます。
(あ、”岩手3社のスペシャルコラボセット” が増えてる!)
吉塚先生 初ご著作 『ひと草楽薬 -草は牛よ 穀物は人よ-』

この本には、著者の様々な思いが記せられている。
その思いが、一人でも多くの方に伝わることを願っています。
(販売サイト 商品説明から引用)
Kindle版はこちら
本日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございました! Have a good and eco day!
ご意見、感想、新しいアイディアなど、なんでもコメントいただけると、ものすごくうれしいです。