こちらの講座は、『魚をさばく ワークショップ』と『魚食についての講義』がセットになったとってもお得な講座でした!
今回教えていただける先生は、アクアカルチャーの 萩野先生、山崎先生、阿高先生の3人です。魚食のセミナーや魚食イベントを通して「日本で獲れる魚を、おいしくいただく」活動をしてらっしゃいます。
2022年12月頭の週末に、小学生の息子を含む家族3名で参加させていただきました。
ワークショップー ニシン をさばく
とにもかくにも実践から!ということで、調理室でエプロンをつけ、まな板と包丁を準備。
あの!サカナバッカ!! で 魚をさばく技術を磨いてきたという山崎先生の教えを請いながら、1人1匹ずつ丸々一尾のニシンを3枚におろしました!
ちょっとなかなか魚のさばき方を文面でお伝えするのは難しいので、このあたりの動画を見ていただくと工程のイメージがつくかとおもいます。←雑。。。
山崎先生からの「ここがポイント!」ニシンの捌き方
- 頭を落とすとき
魚を縦にして、左手でえらの上からグッと押さえます(さかなのおなかが、まな板についている状態)。安定するので、頭が落としやすいです! - 青魚は腹側~おしりのところを切って落とす
鯵、イワシなども一緒とのことですが、おなか側に細かい骨があるので、切って落とします - よく洗う!でも 洗う前のひと手間、洗うタイミングに注意
うろこ、あたま、内臓と腹側を落とした状態で、一回水洗いをします。
おなかの中をのぞくと、背骨の両側に血合いがあるので、包丁をおなかの中に入れて先端で背骨の両側に切れ目を入れ、それから流水でゴシゴシあらう。
(3枚におろしたり、切り身にしたあとに洗うとおいしさも流れていってしまうのでNG。かならず切り身にする前に洗う)
洗った後はキッチンペーパーなどでよく水をふき取る!
(魚の生臭さは水にとけるので、ふきとりが甘いとなんだか生臭い仕上がりになっちゃいます。きちんと水滴をふき取ることが重要) - 大名おろし(三枚におろしていくとき)
一気に身をはがそうとするのではなく、こんなステップを踏むとと、初心者でもきれいにおろせます
1)背中側の皮に切り目をいれる
2)背中側~背骨にかけて、こりこり包丁が骨に当たっているのを確認しながら、包丁を入れる
3)おなか側~背骨にかけて、骨を外すつもりで 包丁を入れる
4)つながっているところを包丁で切りながら身をはがす - ニシンの肉間骨 への対応
ニシンは、肉間骨という細い骨がたくさん、頭側からしっぽの方向に流れるように入っています。そのままお刺身にすると口に残ってしまうため、どちらかで対応すると、食べやすいです。
対応方法1)スライスする方向を工夫する
皮がついている方上にしたとき、尾っぽ側に斜めに包丁が入るよう、肉間骨を断ち切るようにスライスします
OR
対応方法2) 細かく肉間骨をきる包丁をいれる
飾り包丁のように2~3mmくらいの間隔で、包丁をいれ、4~5回目くらいで断ち切るようにして切っていく - アニサキス対応
ニシンに限らず天然のお魚には、アニサキスというひものような寄生虫 がついていることがあります。直径0.5mm、長さ1~3cmくらい??、糸くずのように白くてぴろっとしてます。
生きたまま人間の胃に入ってしまうと、激しい腹痛に見舞われたり、場合によっては取り出す内視鏡手術!になるため、お刺身は1.5cmくらいの幅でアニサキスチェックもしながら切っていきます。
稀にものすごくたくさんいる魚もいるということなので、複数見つかる場合は、生食はあきらめて、加熱調理に切り替えた方がよいとのこと。
「よく噛んで食べれば大丈夫」というアドバイスもあるようですが、、、信じるか信じないかはあなた次第です!
できあがり!
- ニシンのお刺身
ニシンって、刺身で食べられたんですね。しらなかった。脂のってます! - ニシンのなめろう
お刺身からネギ、しょうが、大葉の薬味と味噌を投入。日本酒か白米がほしい。 - ニシンバーグ
大量にできてしまったなめろうを、フライパンで焼き、ハンバーグ風にアレンジ。息子に人気でした - ニシンの塩焼き
丸々一匹をそのまま塩焼きに - ニシンのあら汁
さばいていくなかで出てくる、骨やアラ、白子・卵を投入して、ホカホカおいしい仕上がり

超ニシン尽くしでした! 一人1尾+αの大量のニシン料理だったため、食べきれない。おなかいっぱい。ふぅ。
講義 『魚食の再考』
(のっけからのお詫び、小声)
プロジェクターでの投影のために、部屋はやや薄暗くおなかがいっぱい。かつ、メモを取るためのパソコンも忘れてきた!ノートをとっていたボールペンも途中でインクがなくなる!!
というハプニングでメモが甘く、かつ 年末年始の色々にかまけて結局2か月たっちゃた!ということで、すいません。
一部内容が抜けているかもしれませんが・・・すべてまついの個人の責任です。すいませんでした。
講義サマリーです!
日本の「魚食」はいまどうなっている?
海外からの輸入、国産の魚の動向
- 海外からの輸入は増えてきている
「価格が安い」「通年で同じ種類の魚を出荷し続けられる」という利点があり、海外からの輸入海産物と、国産の割合はだいたい半々くらい。
ただし、ノルウェーサーモンなどは、直行便だった空輸ルートがウクライナ侵攻でドバイ経由の乗継便に変えざるをえなかったり、東南アジアの人件費も上がってきたりしている事情もあり、国産の価格競争力もこの1年ほどあがってきている。 - 日本の養殖はピンチかもしれない
養殖で利益がでるのは、単価が高い魚だけ。例えば、マグロは1kg大きくなるのに、サバ 10kg分が必要。
現在餌の種類は、なまの魚ではなく、魚粉+油+ビタミン+増粘剤でできているペレットになっており、水の汚染や養殖臭さが解消されてきた。
海外の養殖業者にくらべて、日本の養殖業者は規模が小さいため、生産効率の点で不利。餌にする魚粉はペルー・チリなどの南米国が多いので、今後カーボンフットプリントの影響が出るかもしれない。向かい風になるかもしれない。
ゲノム編集のお魚が出てきた
- ゲノム編集の種が出てきた
成長阻害遺伝子をこわした、大きくなるマダイが陸上養殖されてきている。ゲノム編集種は、自然界の魚と交雑しないよう、閉鎖された環境で育てられる。
(ご参考: 前回の作物の種 の話の時に、遺伝子組換、ゲノム編集なども解説いただきました。) - 遺伝子組換した魚介類 の生産、また 遺伝子組換した生物をエサとした養殖 は日本で禁止されている
ひと昔前の「〇〇といって売られている魚は実は・・・」は撲滅されつつある
- 15年前の食品表示法およびガイドライン改定で、優良誤認表示(消費者がより高価な、品質のよいものだと誤解するような記載のしかた)が禁止され、罰則規定も設けられた。
昔あったような ”アブラボウズ” が ”クエ”として売られていた、といった不正は今は撲滅されている。(企業にとっては表示を意図的に変えることのリスクの方が高い) - そのため、アサリの産地偽装問題は非常に業界でもショッキング。正しくは、生育期間が長い方の土地を生産地として表記すべき。
日本の豊かな 「魚食」 を守るための取組み
未利用魚をおいしく、活用する
- 株式会社 フーディソン の 魚ポチ(店舗は サカナバッカ でよく知られている)
この時お聞きできたのが、あの!フーディソンが取り組む魚の新しい流通・活用のしかた。ちょうど直前に この(↓)の話を 『ビジネスモデル2.0 図鑑』で読んだところだったので、よく知る方にお話を聞け感激でした!
サカナバッカはでは、産地(漁港)から直接魚を仕入れるシステムを導入している。通常卸を通すと、売れる魚が取り扱われやすくなるので、どうしても少品種になる。しかし、産地から直接仕入れることで、多品種の魚を取りそろえることができる。
また、マイナーな魚を加工して流通させることで商品価値を生み、市場の活性化をねらっている。
自社開発した仕入れのシステムは「魚ポチ」と呼び、他の飲食店もつかえるようにしたのも市場活性化策の一環。(2018年7月現在)で1500種以上の水産品も累計一万以上の登録店舗に卸している
近藤 哲朗 著『ビジネスモデル2.0 図鑑』009 サカナバッカ より抜粋
って、書いてあったんですよ!とお話しすると、講師の方曰く 「 ものすごくかっこよく言うとそうなりますね 」とのこと。
漁港では高齢化がすすみ、なかなかシステムの入力などをしてくれるような人手も確保しにくく。そのため、毎朝漁港からはFAXでその日にとれた魚の種類と量を送ってもらい、(株)フーディソン 「魚ポチ」担当の手練れの方が、手入力している!らしい。(大変です・・・)
魚の名前(通り名)が産地によってまちまちなのも、日本の特徴。
愛媛あたりで「スマ」といわれているのは、標準和名の『ソウダガツオ』 で、標準和名で『スマ』という魚が別にいる。とか。。。
お店が『スマ』を買ったと思って『ソウダガツオ』が送られてきたら、当然怒られるわけで・・・
そのあたりの 地域差の変換作業、「魚ポチ」担当の方が長年かけて作りこんできました。
普通は人気のない魚でも、食べ方や特徴などのガイドを丁寧にお店やお客様に伝えることで、「無駄なく、おいしくいただく」を実現しています!
(これは私も知っていた。サカナバッカ 中目黒店は、コバンザメの売上高日本一 を誇る店舗だった。お味噌汁とかが良いらしい)
一人ひとりができること。「 本当に、今それ食べなければいけませんか? 」
海の恵み豊かな日本ですが、昔からの文化や風習が、今の環境には負荷となっていることもあります。
- みんな大好き、マグロ
マグロの養殖で1kgマグロを大きくするには、サバが10kg必要。せっかくサバも人間がおいしく食べれる魚なんだから、そのまま食べた方がもったいなくないのでは? - みんな大好き、サーモン
北欧から飛行機で空輸されてきます。日本で獲れる魚もあるのに、わざわざ遠くから運んでくるの? - みんな大好き、うなぎ
土曜の丑の日に需要が集中しており、産地の偽装や違法漁獲がされやすい環境をつくっています。また、ニホンウナギは絶滅危惧種。
他の魚に変えて食べる量を減らす、どうしても食べたければ時期をずらすなど、消費者側も考える必要があるのでは? - 秋といえばサンマ?
海の環境の変化などもあり、ここ数年では日本の沿岸でサンマが取れにくくなっています。何時間も、時によっては何日も船を走らせる必要があることも。
また青魚は漁獲が数年おきに変わる傾向があり、今回実習でつかったニシンは、サンマと反対に今漁獲が増えている魚。
もっとその時に獲れたものをおいしくいただく工夫をした方がよいのでは?
なるほど・・・耳に痛い言葉ではありますが、でも買う人がいるから無理をしてでも販売しようとする店舗があり、それを支える養殖業者や商社が動いていくわけですもんね。
感想
今回は、昼前に集合してから、夕暮れまでがっつり! 実習と講義をいただきましてどうもありがとうございました! ニシンをさばく実習では息子もたくさん励まし、ほめていただけてうれしかった様子です。
家庭で食のカーボンフットプリントを減らそうとすると、安易に
「お肉をやめて、とりあえず魚にしとけばいいのでは?」
とも思いがちでしたが、
「自分が今食べている魚がどこで獲れていて、その産地ではどんな課題があるのか(もしくはないのか)。」
「今買おうとしているものよりも、もっとよい選択肢はないか」
など、日々考えていかないといけないなと多くのことに気づかされたご講義でした。
まずはできる一歩からということで、
- スーパーでは近海魚の表示があるお魚を選ぶ
- メニューを決めて買いに行くのではなく「サカナバッカ」に行ってからメニューを決める
- 今日お刺身にしよ!と思っても安易にマグロ、サーモンばっかり買わない。シマアジとか、キンメダイとか、ホウボウとか、その他いろいろ季節ごとにおいしい魚はほかにもある
に取り組んでおります。
次回もぜひワークショップ参加したいです!今魚をおうちでさばくときに、苦慮している
- マダイの頭を真っ二つ、家でもできるのか?(目指せ 道場六三郎!)
- お頭付きで、焼いたり似たりしたいけど、えらの取り方がよくわからなくて、毎回手で引きちぎっている件
- 大型の魚の内臓ってどう取るのが楽ちん?
- お刺身にどうしても中骨が残ってしまい、家族からクレームが入る件
あたりを習得したいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いします。
~ ご参考情報 ~
アクアカルチャー
こちらの動画で魚を愛してやまないメンバーの方の熱い想いと、いろんな取り組みが紹介されています!
魚好きの方、これから好きになる予定の方もぜひ。
Facebook もありますー!
サカナバッカ by 株式会社フーディソン

わが家が日々お世話になっている、大好きな、大好きな!大好きすぎる!!お魚屋さんです。
数年前こちらのお店を知る前と知った後では、わが家の食卓に上がる魚介類のレベルが段違い。
自転車か電車でないとなかなかいけない距離ですが、最近は、エキナカ(東京駅、五反田駅、新橋)などにも沢山店舗ができて、手軽にお寿司、お弁当、(おいてあるところは)切り身や丸々の魚介類も買えるようになり助かってます!
普段スーパーでもなかなか見ないような魚もみられて楽しいです。
季節やその日のおススメ、食べ方など、ぜひぜひお店の方ともお話してみてください。まだ ハッカク と コバンザメ は試せてないなあ・・・
#サカナバッカ推し (暑苦しくてすいません、勝手に大好きなだけなんです)
包丁を砥げるようになると、人生がだいぶ楽になるのではないか、という件
直接講座の内容とは関係ないのですが、切れない包丁で魚をさばこうとすると、ストレスしか生まないのではないかと思い情報共有です。
わが人生で、最も投資対効果が高かった! と思っている講座の一つがこちらの ”包丁砥ぎ講座”

なぜ包丁を砥ぐことが必要なのか? の座学から始まって、砥石によるちがい、砥ぎ方の実習まで、ド素人でもやさしく・丁寧に教えてくれます。
東京以外でも同じような講座はあると思うので、「なんで切れないのかしらっ!」と包丁関連でイライラされた経験のある方、ぜひ地域の講座を見つけて試してみてください。
私は実家で「包丁はあぶないから」みたいな感じで遠ざけられ包丁砥ぎをしないまま家を出てしまいましたが、「なんてことはないじゃん」と思える今日このごろ。
- お料理をする
- 魚をさばく
- 獣をさばく
- 脱獄する
など人生のいろんな場面で活躍してくれると思います。
本日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございました!
ご意見、感想、新しいアイディアなど、なんでもコメントいただけると、ものすごくうれしいです。Have a nice and eco Day!