亜熱帯の森 トレッキングに行ってきました!
皆様、連休はいかがお過ごしでしたでしょうか?
我が家は沖縄本島の北の方に初挑戦し、かねてから行きたいとおもいつつも移動の距離や時間であきらめてきた やんばるの森に行くことができました!
那覇空港から2時間ちょっと、滞在していた名護市からも1時間ちょっとという長旅です。(ああ、、、飛行機にくわえて車からの排出も・・・)
どんなところなのか全く知らないのでいろいろ話も聞きたいし、何よりハブも怖いし!ということで、今回は やんばるエコツーリズム研究所 の 中根さんご夫妻ににガイドいただきました!
やんばるの森は、のんびりな森?
登山口について、さっそく注意事項から。
いろんなヘビが描いてあるリーフレットが出てきて「やっぱりかー! 涙」と焦りましたが、中根さんによるとそんなに怖がることはないとのこと。
(沖縄県のページにも同じパンフレットが上がっているので、ご興味ある方はどうぞ!(画像もパンフレットからの抜粋です)
- ハブ
おおきくても2メートルくらい。攻撃前にはとぐろをまいて頭を上げる攻撃態勢を取る必要がある。びろーんと伸びて動いているときは単なる移動なのでそっとしとけば大丈夫。攻撃するときも身体の3分の1を地面につけておく必要があるので、2メートル離れれば大丈夫。写真も撮れる。
(いや、それはさすがに怖いかも・・・) - ヒメハブ
のんびりやさんで、落ち葉の下に隠れている。1日たっても動いていないこともある。(良いのかそれで!?)
つえをつかってトントン音をたてると動くので、落ち葉を踏む前にはトントンして踏まないように気を付ける
・・・なんか出会ったら最後、最速で逃げるか、ハブ棒で対決するか! みたいなイメージだったけど、思ったよりも大丈夫そう?
ハブたちの活動時間は ネズミが活発に動く夜。ケナガネズミ という やんばるの森で最大のネズミは、木の上で暮らす、雑食性の鼠だそうです。
こないだ車運転してて、ケナガネズミが全くうごかないんで、車にひかれて死んだかな・・・と確認に行ったんですよ。
そしたら、ハブがひかれて死んでたのを、道の真ん中で ケナガネズミ が必死に食べててねー。
近づいても全然逃げないしねー。
と、中根さん談。
車にひかれたヘビに夢中で、車にひかれそうな ケナガネズミって、、、一体。。。
なんだか、やんばるの森はスローで、のんびりな生き物が多そうな森です。
エッセンスだけドドっと紹介
道のあちこちにいるいろんな生き物を見つけては、「ここに○○がいますねー!」と教えてくださる中根さん。
もうリストで書くと、50個くらい色々おしえていただいたと思うのですが、とても書ききれないのでエッセンスだけダイジェストでお届けします!

(左)ヤンバルダーキー
やんばるに生える細い笹。
(右)あぶらがや
表面がつるつるしているかや。
昔は やんばるだーき の間に あぶらがや を入れて屋根をふいたそうです。
かしこいですね!
ヤンバル ヤマ ナメクジ
まじキモ!!ってなる、15センチくらいある巨大ナメクジです。木の幹にジトっとくっついてます。
なんかふつうのナメクジとちがって触角とかが見えないので、前と後ろも判然としませんが、ちょっとひらひらっていう足が目立つ方がたぶん後ろ。

ガイドの中根さん、平気でつかんで見せてくれます。(とくに頑張っている様子もなく、平気そう。。。スゴイな。うちは家族全員だれも触れず。。。)
まだまだ研究の進んでいない生き物みたいで 「研究者になったら博士号狙えるかもよ!」とおっしゃってました。息子よ、いかがか?
やんばるの森のヒーロ & ヒロイン 木村さん と野口さん

キムラグモ
ガイドの中根さんが、これわかりますか?と指さす先の土の斜面。「いや、土でしょ。」とみていると、ぴらーんと円形のひらひらをあけて、中の穴をみせてくれました!
写真撮り忘れ・・・手書きですいませんが、キムラグモの巣はこんな感じでした。
おばあちゃんが貼ってる、ピップエレキバン(丸)の薄いバージョンみたいなのが、土と同じ色の蓋になってるんですー!ドア付きの巣イイね!
中の住人の方にはお会いできなかったのですが、こちらのクモはクモ業界ではざわつく存在らしいです。
よくいるクモって、頭部分とおなか部分だけで、胸部分がないのですが、こちらのクモは胸の部分の痕跡が体に残っている 古いタイプのクモ なんですって!
ノグチゲラ
訪問したのは5月上旬、ちょうどノグチゲラが子育て中。昼間も必死にえさを運んでいたり、近づくと警戒音を出して威嚇するので、貴重な姿を見られる時期。
ずーっと鳴いているので、あの辺かなと木の上をみたら、全身はくすんだモスグリーンで頭はやや赤いお姿が見れました!写真は環境省のレポートから拝借してます。頭が赤かったので私たちが見たのはオスですね。

ノグチゲラは雨の多いこの地域で、巣が水浸しにならないように、傾いた木の内側に穴をあけて巣をつくります(イラストは巣のつもり)。最近は巣に利用できる大きな木が減っており、絶滅危惧1A類(野生絶滅の一歩手前...)に指定されています。巣箱を設置したり、保全のためのカメラをつけたりの保護活動がされているそうです。
ちなみにこちらの 野口さん、餌として、キムラグモ(木村さん)を食べます。
斜面にあながぼこぼこ開いてるのは、食べられたキムラグモの巣の後、なんだそう。ほー。
外来種、という問題
マングース
その昔ハブ対策としてつれてこられたマングースが森に放たれて問題が起こっているそうです。
ハブは夜行性のため昼行性のマングースの主な食料にはならず、代わりにヤンバルクイナ や ケナガネズミなどの生物が食べられて数を減らしています。保全活動として、マングース用の罠が随所にしかけられ、根絶をめざしてマングースバスターズなる駆除のチームが日々罠の見回りと駆除を行っているとのこと。(写真は農林水産省のレポートから拝借しています、、、)

はい、歩いている間に見かけたものだけでも5-6個はありました。山中にある罠を見て回るって・・・気が遠くなる作業ですわ。。。

キノボリトカゲ
ちっちゃいこちらのトカゲは沖縄の固有種。
「自分は見つかってないと思ってじっとしているから、すぐ捕まえられるのよー」
と中根さん談。(なんでも平気で捕まえられるそのすごさよ。)
捕まえられても、なんだか諦めの境地といった雰囲気です。じっとナデナデされていて心なしか気持ちよさそう。尻尾も切りません。日に当たっていると、ちょっとずつ首の黄色の模様が出て、全体の色も薄くかわってきます。カワイイ。
昔から地元の子供はお家で飼ったり、戦わせたり身近な存在でした。が、、、最近は数が少なくなり、絶滅危惧II類に指定されてます。
この地域では個体数を戻すことが必要な状況ですが、近年、ペットショップで売られたキノボリトカゲがもともとの生息地ではなかった九州で増えていて、外来種の問題がおきているそうです。
悪意はなくとも、もともとその地域にいなかった生き物を持ち込むと、元の環境を取り戻すためにとんでもない工数と時間とお金がかかります。マングース対策もやんばるの森では実施しているものの、なかなか中部や南部までは予算の関係もあり駆除ができないそうです。
「この子たちには何の罪もないんだけど・・・」
生き物愛にあふれる中根さんの言葉が、胸にささります。
この森を守るために、命をかけてきた人々がいた
もう5月上旬の沖縄は梅雨っぽいですが、雲の合間からすこし伊部岳の頂上が見えます。
中根さんご夫妻が地域の歴史についてお話してくれました。

伊部岳闘争
沖縄がまだ米国の占領下にあった1970年、米軍の演習場として伊部岳がつかわれることが判明。山頂が切り開かれ、機材がおかれ始めます。
「このままでは、やんばるの森がダメになってしまう。」
周辺の住民は演習を阻止するため、男性は朝6時から頂上で座り込み、女性と子供は大砲発射地点の前で身体を張って発射を止めたそうです。
大砲の弾が撃ち込まれてくる危険を顧みず、森と生き物を守るために命をかけて守ってきた地元の人々。そのおかげで今日ここに森が残り、様々な命が引き継がれてきたんですね。
森を守り次世代に伝える、その強い想いは中根さんの中にも生きています。最後に、息子にお話しいただいた内容をご紹介しますね!
「よく、何のために生物多様性が必要なのか、と聞かれます。
ヤンバルエコツーリズム研究所 中根さんの言葉より
これからいろいろな病気(ウイルス)などが出てくるかもしれません。新しい病気を治療できる、新しい薬はもしかしたらやんばるクイナの糞とか、このヤンバルナメクジから開発できるかもしれません。
でもその時、ヤンバルクイナが絶滅していたら薬の開発はできなくなって、未来に存在していたはずの可能性は狭まってしまいますよね。
やんばるクイナを守ることは、生物の多様性のある、このやんばるの自然を守ることです。
将来のために全部残す、そのためにがんばっているのよ。」
中根さん、今回のツアー本当にありがとうございました!次回はぜひカヌーに乗って、マングローブの生態系を勉強したいと思っています。
~ ご参考情報 ~
ヤンバルエコツーリズム研究所
今回ご紹介した亜熱帯の森トレッキングの他にも、カヌーでいく無人島や、マングローブをめぐるツアーなど、いろんなツアー・ガイドをされています。
また、自然環境をまもりつつ活用していく取り組みを沖縄県と進めている先駆者でもいらっしゃり、伊部岳保全利用協定 の策定やモデル事業も手掛けています。
学生の修学旅行など、団体のツアーもされているそうですよ!
山あるきにも不慣れな私たち、何から何まで本当にお世話になりました!ありがとうございました。
環境省 レッドリスト
文中の絶滅危惧種、分類については環境省のこちらのリストを参照しています。
沖縄県 ハブに気をつけよう
文中のヘビのイラストは、沖縄県のこちらのサイトからお借りしました。
さんざん気をつけてみていましたが、今回3時間のトレッキング中、無毒のヘビも含めて1匹も出会えませんでした。
ハブとかには会いたくないが、まったく会えないとそれはそれで残念、という不思議。
本日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございました!
ご意見、感想、新しいアイディアなど、なんでもコメントいただけると、ものすごくうれしいです。Have a nice and eco Day!